◎:37℃ ページ17
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愛の深さとか、好きの量とか、感情の重さとか、
目に見えないものを簡単に測ることが出来たのなら、
こんなに苦労していないのだろうか。
「カサついてる」
『リップ切れた』
「痛いじゃん」
『なめて』
「紫耀がなめてよ」
『ワガママだな』
そう言うと、舌を伸ばして私の唇をペロリと舐めた。
得意げにニヤリと刺すその笑顔は確信犯。
常温37℃、ベビーピンクの唇は微熱を漂う。
「熱ッ」
『喋んな』
「ねえ、しょ、『黙れ』……ん、」
0センチの距離が永遠と続く。口内に喋りかけるように漏れる吐息。息継ぐ暇もなく、いつもに増して唇が熱を帯びていた。本人は『興奮してるから』と適当に嘲笑うけど、ううん、紫耀の唇は誰よりも熱くて本気で溶けてしまいそうになるよ。
「……んはぁ、ッ」
『ふッ、なに?』
「今日どうしたの?」
『ん?』
「紫耀の、ここ、熱い」
『誘ってんの?』
「誘ってなッ…「…………」……」
この状況で唇を触るのはまずいと思った。目と目が合った瞬間にスイッチが入る。今日の出来事を包み隠さず楽しそうに話し出したと思ったら、急に近づいてきて気づいたら胸板からの距離は7センチ。その気になったら止まらないのがこの人の特徴だし無言の圧力が興奮を誘うのは言うまでもない。喋る隙なんて与えてくれないし、ひたすら笑顔で攻めてくる。
『…………』
「ンッ、……はぁ、ぅ、」
『…………』
「……ね、しょ、……」
『ん?』
「……シない、の?」
『まだ』
何通りのキスを味わっても、飽きるどころか次を求めてしまう。
45度に首を傾けて、下から掬うように器用に舌が行き来する。ぷるぷるの感触が放出される熱によって麻痺する。満足しないのか更に37度に首を捻る。グチュッと卑猥な音にも敏感になるのに、紫耀は未だにキスをするだけ。
紫耀なりの愛情表現。
それ故に、どれだけ私のことを愛してくれているのかが気になったりもする。ワガママなのかもしれない。普段から紫耀は携帯を放置する癖があるから連絡が返ってくるのは1日に2〜3回。ほとんど電話で済ましてる。だけど、せっかくの飲み会は、ひと口も飲まずに帰ってくるし、かと思えば酔ったフリして帰ってきて寝込み襲ってくるし、タチが悪いのなんの。でもそれが私にとっては幸せの在り方だから。
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まきこ(プロフ) - 全部のお話すごく好きです!!甘えてくれる紫耀くん可愛すぎますね!またいろんなお話読めるの楽しみにしてます^ ^ (2021年2月14日 8時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年2月7日 1時