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「なんか点滅してるよ」
『……返事は?』
「え?」
『返事した?』
「断ったよ」
『……そっか』
私の言葉なんか無視して、未だに点滅するiQOSを握り始める。
安堵したように車から離れて海の方へ向かう紫耀の背中を見つめた。
「ねえ、私に彼氏できない理由ってなんだと思う?」
『え?』
私の方を振り返ってまた目が合う。ひんやりと頬を霞む風が目に染みる。
この空気はなんだ?私、なんて質問してんだ?
自分でも取り返しがつかないような後悔が押し寄せる。
『んー、……俺のせい?』
「なにそれ」
『俺はお前のせいで彼女できないし』
「だから、なにそれ」
『それしか言わねえじゃん笑』
「意味わかんないし」
『俺も意味わかんない』
『温めんとこの点滅消えんだよ』……そう言って握ってたiQOSを
ジーパンの後ろポケットにしまう。何が意味わかんないの。
何に対して意味わかんないの。……紫耀がわからない。
「タバコなんてやめればいいのに」
『やめれたらとっくにやめてんわ』
「あっそ」
『興味ねえべ』
「ない」
どうだっていい。紫耀がタバコをやめるとかやめないとか。
私には関係ないことだから。……ただ、この気持ちの答えが
なんなのか、気づいたら全て終わってしまいそうで。
何もかも、なかったことになってしまいそうで。
関係ない、なんて綺麗事並べても、私たちはどうなることもない。
この先も、きっと何もない。お互いがそう思ってる。
だからこのままがいいんだ。このままじゃなきゃダメなんだ。
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まきこ(プロフ) - 全部のお話すごく好きです!!甘えてくれる紫耀くん可愛すぎますね!またいろんなお話読めるの楽しみにしてます^ ^ (2021年2月14日 8時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年2月7日 1時