愛とか恋とか《短編集》【 sh 】 (ページ3)

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「セブン寄って」
「何買うの」
「リプトン」
「出た」

見慣れたコンビニの看板が目に入り、左折して一発で駐車。飾らないけど今めちゃくちゃカッコよかったよ、正直。見惚れてたら紫耀がドアを開けようとしたから慌てて私も出たら「俺買ってくる」と一言。深々と被った黒キャップも目立ってる。バタンと閉まるドアを目で追った。もうすぐ日付が変わる。

「ありがと」
「お前が好きそうなのにした」
「ねえ天才？」
「やっぱり？」

期間限定に弱いのは知ってても、あの味は嫌だとか、結局は王道がいいだとか、コロコロ変わる私の好き嫌いもしっかりと理解した上で選んだであろう " みかんティー " は今まさに私がドハマりしてる味ナンバーワン。以心伝心？いやただの偶然に偶然が重なったんだろう。だけどそれでもやっぱり嬉しいんだよ。些細なことで幸せだって思えるんだよ。

「俺も飲みたい」
「やだ紫耀の吸引力やばいもん」
「それキスマだろ」

チビチビと飲んでいた私の手から強制的にリプトンを奪いストローを勢いよく吸い上げた。喉仏が動く回数、計４回。「うんまっ」と返された紙パックから３００ｍｌは消えた。噛み癖が直らない紫耀のせいでストローは使い物にならない。

「あ～もう！」
「では帰りまーす」

呑気に鼻歌を奏でながら揺れる背中が大好きだ。

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