ただの短編集【J・Jr】 (ページ49)

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【聖なる夜に愛を】まちゅのえ【BL】ページ49

・ボーイズラブ
・クリスマスのお話
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「もう11時だよ、」

そう呟いた俺の声は誰に拾われることも無く寂しく消えていった

時間は刻一刻と過ぎていく

未だに帰ってこない恋人に鬼電したのはもう2時間も前のこと

昼間、仕事に行ったきり帰ってこない彼

25日だと言うのに1人で虚しくケーキを冷蔵庫へと入れた

こんな事なんて今までなかった

君はいつも俺優先で、
何があっても連絡をくれる

俺が「今何してるの？」と連絡すれば
1分も経たないうちに返信だけじゃなく位置情報までも送ってくれた

お互い愛が重いから成り立つ関係だと思っていたのに
愛が重いと公言してた君なのに

たかがクリスマス

されどクリスマス

今頃誰かと笑いあっているのかもしれないと思うと吐き気がした

いつの間にか無意識に投げてしまって
部屋の端へと追いやられた携帯を拾い上げ画面を開くと
友達や公式からの通知のみ

もう本当に無理なのかもしれない

「帰ろっかな。」

時計の長針が5を指しあと５分もすれば11時半

着てきた防寒着に身を包み携帯を鞄に入れ
渡すはずだったプレゼントの紙袋と共に鞄を持つ

リビングを出ると玄関はリビングより遥かに寒く少し身体を震わせた

靴に足を入れコツコツと音を鳴らし履く

そして気温で冷えきったドアノブに手をかけ扉を開けようとしたとき

「わっ、」

押した力よりも強い力で扉が引っ張られる

「、、如恵留、」
『海斗！！』

そこには真冬なのにコートを着ず手で持ち
息を切らした様子で少し汗ばんだ恋人が居た

『ごめん
ほんとにごめん
何言っても信じて貰えないかもしれないけど
ほんとにごめんなさい』
「、とりあえず叩釚ろ」
『うん、』

周りを気にせず謝る恋人の姿は嘘をついているようには見えなかった

厚手の防寒着に身を包んだ意味もなくまた部屋へと逆戻り

暖かいリビングへと入ると防寒着を脱ぎ
雑にソファーの腰掛けへと掛ける

如恵留も俺が掛けた横に丁寧にコートを掛けた

俺がソファーに座ると眉を下げた如恵留が俺の横に座る

『あのね、』
「うん」
『仕事場に着いて海斗の家に携帯を忘れたのに気が付いて』
「ぁ」

申し訳なさそうに話し始めた如恵留の言葉で全てが繋がった

今日、日を跨ぐ瞬間を一緒に居たかったから
俺の家から出勤した如恵留

俺が如恵留のうちに着いてから異様に何回も来ていた
誰からか分からない電話

如恵留からのだったんだ、