短編集３

※・ ページ5

・○○ side





しばらく会えない。






こんなこと、壱馬に送ったのは初めてだった。







『……はぁ、あつ……、』







その理由は至って単純で。






手元の体温計の表示は39.6





どうやら、風邪をこじらせたらしい、、。








なんて返ってくるかな……なんて少しでも考えた私がバカで






"既読"の文字だけついた壱馬とのトーク画面を






そっと、閉じた。










『……もう、やめたいよ……っ、』








好きな人には、彼女がいて






私はただの都合のいい存在。







もう諦めていたはずなのに、こんなこと考えてしまうのは







きっと、熱のせい……







だから忘れたくて








スマホの電源を落として、眠りについた。









だから気づかなかった









"不在着信 川村壱馬"








普段絶対にかけてこない電話も








"起きたら鍵あけて"








この連絡にも。









気づいたのは連絡から2時間後。








あまり理解してない頭で、ふらふらしながら玄関まで。








ガチャっと扉を開けると……









壱馬「ん、早く入れて」








大量の袋を持った壱馬が立っていた。









壱馬「……なにその顔」

『……なんで、、』

壱馬「どうせ風邪だろうと思って。」








"看病したるから、中入れて"











何があっても、私の家に入らなかった壱馬が





この日、初めて中へ入った。

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