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そして翌日…正確に言うと今朝。


「おはよー」

「いのちゃん!おはよう!!」
現場についた途端飛びついてくる末っ子はキラッキラの笑顔で迎えてくれた。


「っ、ちょっと、危ないよ○○〜」

「へへ、だって久しぶりだもん!」

「はいはい、テレビ電話何回もしたのにねー」

「そういう問題じゃないの!!」

「ふふ、分かってるよ。会えて嬉しいよ、俺も」

○○と話しながら荷物とかを置いてたら、“はよー”って、大ちゃんと高木も入ってきた。
なんでだろうね、こいつらの顔を見るだけで顔が綻ぶのは。

「お!ちゃん久しぶり!!」

「伊野尾くんおはよ」

「大ちゃんもたかぎもおはよ〜」

「ははっ、在宅療養しても滑舌は治ってないかー」


…なんだよっ、たかぎのくせに。


今日一個目の仕事は雑誌の撮影。
二日間に分けて撮るので、今日はここの4人のみ。

「薮ちゃんいないからつまんない?」

「え?」

待ち時間にボーとしてたら急に大ちゃんに声かけられた。

「…そんなことあるわけねーじゃん」

「ふーん、そう?」

「ニヤニヤすんな!やかましいわ!」

薮は今日、確か光と一緒の仕事だ。
ヤキモチじゃないけど…少しだけ、ほんの少しだけ、もやもやしてる。


復帰したのに会えない。
もう二週間も我慢したんだよ?これ以上待たせるの?


柄にもない言葉は口に出るはずもなく、認めないようにしてるけど…やっぱり寂しい。



俺から『今日会える?』って聞けばいい話だけど、それもなんか言いづらくて。
だって、もし薮に『ごめん、先約があった』って言われたら…今日こそ立ち直れそうになくて。


「しょうがないな!快復祝いとして焼き肉でも食いに行こうか?」
撮影終わり、身支度してると後ろから大ちゃんの陽気な声が聞こえてきた。


「行きたいけど、俺これからロケあるの。」

「ええー?さすが伊野尾先生!復帰日からバンバン働くね〜」

「…今の言い方めちゃムカつくけど!」

ケラケラ笑う大ちゃんにつられて笑いだして、「ちゃんが元気でよかったよ!また次の現場でな!」とだけ言って、大ちゃんは楽屋を出た。



またしーんとなった空間。
したくもないのに、ため息がかってに漏れてしまった。



薮は、なにしてるかな…

今メールしたら、次の仕事の間ぜったい携帯のこと気になるから、やめとこう。



あしたは…打ち合わせあるから、会えるはず。
明日になれば。あと一日待てば会えるんだから。

自分にはそう言い聞かせた。





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作者名:yoku | 作成日時:2020年8月16日 11時

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