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もぞもぞとあげた顔。そして視線を合わせる。
あ〜あ、泣きすぎて目が腫れてるじゃん…真っ赤になってるし。後で冷やしとかないと。

でも唇がぷるぷるのままで、すごい、おいしそう。
誘うような半開きの口に、そっとキスを落とした。



「…っ、んぇ…?」

「ふふ、泣き虫さん、つーかまえた」



キョトンとした顔で数回瞬きしたら、口をへの字に曲げてまた俺の肩に顔を埋めた。

「…おれ、むしじゃないぃ……!」

「はいはい、虫じゃないよね、ごめんごめん。じゃあ何があったかちゃんとひかに教えて?」


ここまで来たらまじで姪っ子ちゃんと話してるみたい。可愛いから全然いいけど。






落ち着いてきたいのちゃんを風呂場に連れ込み、湯船に浸からせた。
シャワーで済ませたと聞いたからね、体を温めた方が疲れも取れるし。


俺も素早く体を清め、今は浴槽の中でいのちゃんをバックハグしてる。

こういう体勢に安心感を得たのか、お風呂でリラックスできたのか、大人しく俺の腕の中に身を預けながら、いのちゃんがぽつりぽつりと話し始めた。



要は、俺より先に帰宅して、寂しくなって、録画した俺が出る番組を見ることにして。
それが数週間前に放送された、命がけて秘湯を探す番組だって。

あのロケ、過酷だったな…
本物の断崖絶壁に本物の激流。帰り道に一緒だった先輩と『まだ生きててよかった〜』的な話ずっとしてたな。

心配かけたくないから、このロケのことあまりいのちゃんに話してないな、そういえば。
ある意味正解だった。オンエアーだけでいのちゃん、泣くほど心配したんだもん。




「ひか、何回も足、滑ったし…お、落ちちゃったらどうしよ、て、…」



どうしよう。俺今、超絶幸せ。
こんなに心配してくれたんだね…うちの子優しすぎない?!
めちゃめちゃ愛されてんな、俺…



「なるほどね、それで怖くなっちゃったんだ?」

「うん……シク…」

やばいまた泣く(笑)


「大丈夫だよ?ほら、ひかここにいるでしょ?危ない感じだったけど、安全確認とかスタッフさんきちんとしてくれたから」

「わかる、けど…ひかがケガするの、いやぁ…」

涙声で言って、俺の腕を掴んで、頬にすりすり。

…もう、可愛すぎて鼻血出そう←



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作者名:yoku | 作成日時:2020年8月16日 11時

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