【短編置き場】JUMP X in (ページ12)

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きっかけは先々月、いのちゃんの急な体調不良。

ドラマの大事な打ち合わせがあるその日、朝起きてからどこかぐったりしてるいのちゃん。
前の日いのちゃんちに泊まった俺は違和感を感じるのに時間がかからなかった。

『いのちゃん？大丈夫？気分悪い？』

『ほぇ？だいじょおぶだよぉ？』

『いやひらがな喋りやべぇし絶対大丈夫じゃないじゃん！体温測った？！』

『はかったけど、体温計こわれたっぽい』

『うそ、壊れた？ちょっと貸して？』

さっき俺も使ったけど、普通に使えるよ…？
もっかい自分の体温を測ってみたら、やっぱり正常だった。

『壊れてないよ？』

『ほぇ…でもおれ熱ないのに38度って書いて…』

『バカか！？それ熱出てるって！！！』

心臓止まるかと思ったよ。そして頭がいいいのちゃんのバカ発言にも驚いた。

やばい…この時期の発熱は非常にまずい。実際2度目の感染をした後輩もいるし。
いのちゃんをベッドに寝かせ、はらはらしながらマネージャーに状況報告。
マネージャーも話を聞いた途端動揺が隠せず、“とにかくあなたは早く自宅に帰りなさい！”と最初に言われた。

いや、普通に考えてほしい。
熱で弱っている恋人をほっといて何もなかったように帰れる人いる？！
どうせ俺は濃厚接触者になるから(←)どこいても同じだろう？！

…そう言って断ると、マネージャーにガチで呆れられた。

それでも帰りたくなかった。いのちゃんを一人にしたくなかった。

たとえほんとに再感染したとしても…隔離するなら今度は二人でって、本気で思ってた。

去年の悪夢のような半月、もう絶対に味あわせたくないんだ。

幸いいのちゃんは再感染したわけではなく、ただの疲れによる発熱だった。
ひとまず安心したけど、いのちゃんともっと一緒にいたい気持ちが消えないまま、ダメ元でマネージャーに相談したらまさかのOK。しかもすでに事務所に承認済み。

『いずれそう言うと思ったから』って、先手を打ってくれたらしい。
敏腕だな、うちのマネージャー。

仕事の合間にさりげな～くその話いのちゃんにしたら、涙ぐんで『俺でいいの…？』って抱きついてきたよね…可愛かったな…

その場にいたメンバーに“おい何見せつけてんだよ！”と大ブーイング食らったけど、めでたく同棲決定。

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