９ ページ9
コンビニでメイク落としなんかと下着も買った。
智くんはチョコレートとコーヒーを買ってた。
夜中に仕事する時、お供にするらしい。
家に戻ると、潤くんが圧縮された布団を抱えて階段を昇ろうとしてた。
「お。おかえり」
「ただいま」
「お前ら、布団1組で良いよな？雅紀が今、納戸から出してるわ」
今更なんだけど『布団1組』という言葉がやけに照れ臭い。本当に今更なんだけど。
「ただし、ルールは変わってないからな？」
「ルール...あっ！？そんなの、心配無いって！！」
ここに住んでた頃のルール。
異性を連れ込むのはOKだけど、そーゆーコトは禁止。
「Aは心配無くても、雅紀がなー」
「なになに？俺がどうかした？」
廊下を布団抱えた雅紀くんが歩いて来た。
潤くんは特に何も言わず「おやすみー」とさっさと階段を昇って行く。
「Aちゃん、布団これだけで良いよね？」
「えっ...あ、うん...」
「一緒に寝ようねー」
へへー、と笑って雅紀くんも2階へ上がって行った。
「やっぱり『I Love You』は『一緒に寝よ？』だね」
智くんが私の体にトンっと腕を当てて笑うから、私も「ちょっと違う気もするんだけどなぁ」と笑う。
お風呂を済まして、ニノくんが貸してくれたTシャツとハーフパンツを履いて、元々雅紀くんが住んでた部屋のドアをノックする。
開いたドアから濡れた髪の雅紀くんが顔を覗かせて「いらっしゃい」と私の手を引いた。
濡れた髪なんて、もう見慣れた。
手を繋ぐのも、慣れたはず。
なのに、私は心臓が壊れてしまうんじゃないかって位にドキドキして、倒れそうだ。
今はもう使われてない部屋。
ベッドだけがあるその部屋はライトが無いから薄暗く、光はカーテンの無い窓から射し込む月明かりだけ。
手を引かれたままベッドに座らされ、雅紀くんも隣に座った。
毎晩、一緒に寝てるのに。
何でこんなにドキドキが止まらないんだろう。
「...何か俺、ドキドキしてるんだけど」
雅紀くんが恥ずかしそうに笑って、私の手をギュウっと握った。
「私も」だとか言った方が良いのかもしれないけど、それすら言えない位。
「この部屋に居たらAちゃんを好きになった頃のこと、思い出す」
「え...？」
「ねぇ、思い出話しようよ。眠くなるまで」
雅紀くんと布団に潜り込む。
後ろから抱きしめられて、彼が話し始めた。
「初めて会った日の事、覚えてる？」
夏休みの夜は、静かに更けて行く。
・・・・END・・・・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2278人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るこ(プロフ) - 完結ありがとうございました。多分今の私の気持ちreiさんの気持ちと似た気持ちだと思います。でもreiさんのお話大好きなので、またお会いできるのをのんびり待っていますね。 (2020年5月23日 17時) (
レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - 完結、ありがとうございました。そしてreiさんのお気持ち、分かるような気になってます、すみません。また書きたいなと思える時がきたら、よろしくお願いいたします。reiさんが大好きなので、無理せず、楽しくお過ごし下さいね。 (2020年5月19日 0時) (レス) id: 60fee0eb93 (このIDを非表示/違反報告)
あもゆ(プロフ) - 完結おつかれさまでした。そしてありがとうございました。お互い素直になれなくてこじらせまくってしまい、お互いの気持ちが通じ合うまで長い時間がかかってしまいましたが、とにかく良かった｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡自然と涙が出て流れてました。 (2020年5月17日 7時) (レス) id: 7ecebd6013 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 完結お疲れ様でした。まぁくんのちょっと能天気で優しいところが分かって良かった。主人公ちゃんからの目線だととんだ小悪魔だったからなぁ(笑) reiさん…創作意欲が涌いたら戻って来てね。待ってます。アデュー (2020年5月16日 11時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
おちょう@7(プロフ) - まー君サイドのお話も、完結ありがとうございます。切なさMAXで、最後まで読みました。二人の幸せを願います。こちらに載っている短編は、どれも好きなお話ばかりです。またお会い出来る日を楽しみにしています。 (2020年5月15日 19時) (レス) id: 9201910101 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2019年8月5日 21時
