【呪術廻戦】メンヘラ短編集

【釘崎野薔薇】 ページ2

『野薔薇ちゃん！』
『どこ行くの？』
『野薔薇ちゃん！』
『えへへ』
『まって！まって！』

同じ1年のAは何故か私に引っ付いてくる
いちいち構ってたら日が暮れるから、最近は軽く流してるけど

『私ね野薔薇ちゃんの戦う姿好きなんだぁ』
『野薔薇ちゃん大好き！』
『野薔薇ちゃん！』

なんでここまで好かれてるのか分からない
まぁ、私は美人だしある程度好きになるのは分かるけど

こんなに好かれることある？
少しは大人しくしてて欲しいんだけど




と、思っていたのが数週間前

「ちょっとA｣

『どうしたんですか？野薔薇¨さん¨』

｢今日はいつもより大人しいじゃない、どうしたのよ｣

『…実は前回の任務で脳に傷が出来たみたいで』

｢は？｣

Aは脳を損傷したものの奇跡的にほぼ害がない状態だったそう
ただ、記憶力が著しく低下したみたいで1日で記憶が消えてしまうらしい

戦闘に関しては体が覚えてるから大丈夫と、上がまだ働かせるつもりだとか

｢つまりあんたは、前の自分が何してたとかどんな気持ちだとかを覚えてないわけね｣

これで、毎日静かに過ごせる



それからの毎日は静かだった

朝起きてから、挨拶のために会いに来るAがいない
昼にご飯を一緒に食べようと誘ってくるAがいない
訓練をする時に騒ぐAがいない
寝る前にあいさつするAがいない

いない？当たり前のことよ
なのにどうしてこんなに胸が苦しいの？

望んでいたことじゃない


『あら、野薔薇さん、部屋の前で会うなんて奇遇ですね！おはようございます』

『え！お弁当わざわざ作ってきてくれたんですか！なら、ご一緒させていただいてもいいですか？』

『訓練で野薔薇さんを見ていればいいんですね！でも、私近接なので虎杖くんのを…そうですね、応用も大事ですね』

『わざわざ部屋まで送っていただいてありがとうございます！気まぐれですか？でも嬉しいです！おやすみなさい』

そう、これはただの気まぐれ
気まぐれよ

記憶が無くなるから毎日同じことをしても同じ言葉を返してくるA

部屋に戻ると、たくさんのAが出迎えてくれる
今日も同じだった

明日はなにを言わせようかしら
大丈夫、何度でもやり直して

いつか元のAに戻る日を見つけ出してあげるから
そしたらその日を繰り返しましょう？



　Fin 【釘崎野薔薇】

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