Feelings

. ページ38

.



「…顔色。悪いで」


講義が始まり、適当に話を聞いていると
ぼそっと低い声で喋りかけてくる


「……ああ。貧血やねん」

「それだけ？この前より痩せとるし」

「…」



「……それよりも。一週間音信不通で大学来ないって、おかしない？」


早速疑問を追及するしげに、なんて言葉を返せばええのか悩む

しげに言ったところで……助けてくれるんやろか


黙り込んでいると、無造作に置かれたスマホの画面が光った




“男と喋ったら、また大学行かせへんから”


…っ、やばい

見られないように慌てて取ろうとしたけど、先にしげにスマホを奪い取られる


「ちょっ……と、返して」

「ナニコレ。………レンって、彼氏やろ」


画面をじっと見つめる彼は、抑揚のない声で問いかけてくる


「また大学、行かせへんって……もしかして、この一週間も、そういうことだったん？」

「……ほっといてや」


途端に居づらくなった私は
無理やりしげの手からスマホを取り、講義中にも関わらず、荷物を持って席を立った




外に出ると、後ろから私を呼ぶ彼の声


もう…なんで、なんで追いかけてくるん


最近知り合っただけの、ただの友人やろ？
そんな、深く入り込んでこないでや……



「なんなん！関係ないやろ！？しげには！！！」

「あるわアホ！」


そう叫んで、怖い顔で近づいてくるしげの顔が……


アイツと………レンと。重なって、ぞわっと鳥肌が立つ


「やめて……ぶたんといて」

目を瞑って、身を構え弱々しい声で言うと
は？と、しげの声


「……お前、やっぱり暴力受けてるん？」

「…」


憔悴しきった心が揺らぐ



「しげに言ったら………助けてくれるん？
こんな、どうでもいい女のこと」

ふっと自嘲気味に笑うと


腕を掴まれたと思えば、そのまま抱きしめられた



.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す