ほんまに好き【短編集】

お姫様【アインシュタイン・河井ゆずる】 ページ39

「A〜」

『なにー？』

「こっち来て〜」

ソファーに座ったまま、彼女のAを呼ぶ

Aは、晩ご飯の片付けをしとった



久しぶりに彼女の家に来た俺を、俺の大好きなご飯でもてなしてくれて、

今も『仕事忙しかったやろ？ゆずくんは座っとって』って言ってくれて、

片付けが終わったのを見計らって声をかけた







『どうしたん〜？』

コーヒーとココアを持ってAが来た

「おー、ありがとうな」

『ん、いいよ』

そう言って、俺の隣に座る


…実は今日、Aにプロボーズをしようと思っとる

左のポッケには指輪がある

…でも、最初はやっぱ………






「そこじゃなくて、ここ！」

足の間をポンポンと叩く

『…んふふ、はーい』

俺の間に座ったAは、俺にもたれてくる

お団子が首元に当たってくすぐったい


「…ぎゅってしていい？」

『いいよ〜』

Aのお腹に腕をまわして、肩に顎をのせる


『ゆずくん、こしょばいんやけど笑』

「ええやんか…久しぶりやし」

『…ほんまやね〜』

そう言ってココアを飲む






“結婚については…どうお考えですか？”

テレビから、そんな声が聞こえた

アナウンサーが今話題のイケメン俳優さんにそう聞いていた

“そうですね〜…僕は、まだいいですかね”


『ふ〜ん……』

Aは興味津々にその話を聞いていた


「あのさ…Aは『この俳優さん、かっこいいよなぁ〜』…え？」

…そっち？

結婚じゃなくて？？



「…A、この俳優さん好きやったっけ？」

『え？うん』

「…ふーん……」

…なんか、嫌やな

会わん間に俺から気持ちが離れていったように感じた


『この人、最近よく出るよなぁ〜』

…前は、テレビとかあんま見んかったのに

なんか妬けるわ…









『なんかさ、ゆずくんに似とるやん？』

「えっ？」

突然Aがそういった

似とる…か？？


『なんか、雰囲気とか…
　あと、かっこいいのにおもろいとことか？』

な？似とるやろっ？って、俺の方を見て言う

…なにそれ、可愛すぎやろ




「…あほ」

『ゆずくん照れた？』

「うるさいわ笑。ほら、Aの好きな俳優さん喋っとるで」

『はーい笑』

Aを前に向かせる

なんや…俺、飽きられたとかそんなんじゃなくて

すごい愛されとんやな







『…ゆずくん』

「ん？」

『私…一生飽きひんからな』

「っ！」

俺の心を読んだんかなってくらい、タイミングよくそう言った

『一生…そばに』

「待って」

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