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Noel
『お前にできるわけねーじゃん!』
『最悪!ペアなんてやだよ』
『頑張ったって無駄だろ』
先のことを考えようとすると、何かをやってみようと思うと、数年前に聞いた、刺々しい言葉が頭の中でこだまする。僕は、何もできない。そう思ってしまったらもう立ち上がれなくて、学校に行けなくても一生懸命勉強したこととか、大好きなピアノとか、それも全部無駄なことのように感じてしまった。でもそれを言ったら、両親や先生たちを悲しませてしまうことも分かるから、ただ、何も言わずに、耐えるしかなかった。
「大丈夫、大丈夫」
将来の夢は、小さい頃からずっと決まってる。それはみんな知ってるんだから、それを書けばいいだけ。大丈夫。そんなに難しいことじゃない。
「ゴホッ、、」
頭の中の声が怖くて、心臓がドキドキ苦しくなる。でも、迷惑をかけたくないし、院内学級は大好きだから、なんとか自分で落ち着けて、一番最初に提出した。
「早いね。よく頑張りました、、、如恵留くん?」
提出して、気が抜けたら急に涙が出てきて、息ができなくなる。胸が痛くて、怖くて、ちゃかちゃん先生が何か言ってくれているけど、よくわかんなくなってきちゃった。
・・・
Shizuya
「あれ、如恵留くん脈乱れてる」
ナースステーションで患者さんそれぞれにつけてもらっているホルターのモニターを確認していると、担当の如恵留くんの調子が悪そう。院内学級にいる時間だからなぁと思って見つめていると、みるみる数値が悪くなってきた。
「あらら、だめだ。院内学級行ってきます!」
看護師さんに声をかけて、院内学級に走る。
「失礼します」
教室に駆け込むと、崩れ落ちる如恵留くんをちゃかちゃん先生が支えている。
「すみません、いまナースコールしたんですが」
「頓服は飲みました?」
「まだです」
早めに気づけたみたいでよかった。とにかく他の子のこともあるし、如恵留くんを抱き上げて処置室に向かう。看護師さんたちが準備をしておいてくれたベッドに如恵留くんを下ろして、ルートを確保する。
「サチュレーション85です」
「マスク用意して!如恵留くん、お薬入れるからねー。大丈夫だよー」
ボロボロと泣いている如恵留くんは、薬が効き始めると身体の力を抜いた。すぐに起きてしまうかもしれないけど、少し眠れるといいな。
「目を覚ましたら呼んでください」
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イカ(プロフ) - ユルピさん» 遅くなってしまい、申し訳ありませんでした💦 (2023年4月6日 12時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ユルピ - イカさん» お話見ました!とても如恵留くんが頑張っている様子が伝わり感動しました!また、リクエストしますね〜 (2023年4月6日 8時) (レス) @page44 id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠(プロフ) - こんにちは!ざっくりとしたリクエストだったのにも関わらず、とても素敵なお話にして下さり、ありがとうございました♡何度も読み返し楽しませて頂きます!これからもイカ様の作品を楽しみにしています(*^^*) (2022年12月12日 10時) (レス) id: 1f31f14422 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - 睡眠さん» お待たせして申し訳ありません。「ずっと、一緒に」にお話を更新させて頂きました。お読みいただけると嬉しいです。 (2022年12月12日 8時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - 睡眠さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。ずっと、一緒にへのリクエストありがとうございます。少しお時間をいただくかもしれませんが、お待ちいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2022年12月4日 22時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年10月8日 23時