明日も、明後日も #2

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「誕生日会、してあげたらいいんじゃない？」

突然、ナースステーションの端にあるブースから声がする。声の主は、院内学級の担任であり、俺たちの友人であるちゃかちゃん先生。

「如恵留先生が忙しいの分かってるし、ひとりだけ特別にできないのは知ってるよ。だからさ、俺が主催すればいいでしょ？院内学級の先生が、教室おやすみの生徒の病室で誕生日をお祝いするのはなんの問題もないでしょ。普段は教室でやってるから、特別扱いってわけでもないし」

「たしかに、、」

「家に帰るってことには勝てないけど、少しくらい、元太くんの気持ちを助けてあげることができるかなって」

ちゃかは本当に周りをよく見てる。どうにもしてあげられない俺のもどかしい気持ちを察して、最善の案を出してくれる。

「お願いしても、いい？」

「もちろん。俺は生徒の誕生日をお祝いする。他の子たちも一緒に準備をしておくね。プレゼントはいつも通り寄せ書きだから、それは回覧するね」

子供たちのお誕生日には、いつもみんなでカードを書く。最善の打開策が見えて、俺の気持ちも少し落ち着いた。

「如恵留先生は、当日病室でお祝いできるくらい、元太を元気にする係です」

「わかりました。がんばります」


・・・



ご両親に説明をして、納得していただいて、ついに誕生日当日を迎えた。この日は、外泊ができない代わりに、1日家族が一緒にいられるように、個室にお引越しすることにした。ちゃかが、移動予定の個室を、院内学級の生徒たちと一緒に飾り付けしておいてくれている。

「ちゃか、本当にいろいろありがとう」

「協力できてよかったよ。ほかの子たちにとっても、こうやって誰かのためにって頑張ることは、いいことだと思うし」

元太の体調は、少しづつ良くなってきたけどまだ本調子は遠くて、寝ている時間も長いし、咳はずっと続いている。本人は嫌がっているけどサチュレーションが安定しないから酸素を送るカニューレは外せないし、食事量が少ないから点滴も続いていて、毎度点滴のパックにシールを貼ったり、点滴台にキーホルダーをぶら下げたりして、なんとか気持ちを保ってる。誕生日に外泊は許可できないと伝えた時はたくさん泣いてしまったけど、とにかく家に帰るために頑張ろうと励まして今日を迎えた。

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