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叶わぬ願い 芥川龍之介 ページ14

暖かな空気。冷たい風。春の訪れを感じさせるのどかな雰囲気の中、ある路地裏ではそれに似つかわしくない空気がはりつめていた。

飛び散る赤に息をのむ。何かひとつ行動を間違えれば自分の命は無いのだと、悪寒が走った。
任務をしっかりと遂行しようと銃を敵に向け、その引き金を引いた。
乾いた音の連射。その後、標準を合わせた敵を確認するとそこに人はおらず、ただの物となった物体が転がっていた。

そう繰り返していると、仲間内からざわめきが起こった。仲間の応援が来たのだろうか、悪い雰囲気には変わっていない。しかし、より一層緊張感のある空気となった。

何があったのかとそのざわめきの中心を視線だけを動かして見る。
眼に映ったのは黒い外套。咳をするため口を覆う手。華奢な背格好。

上級構成員、芥川の姿があった。


「………退いていろ」


そう一言だけ言って最前線に居る私達の前に立つ。この人が使う異能力で、私達がてこずっていた敵は一瞬でただの物と変わるだろう。

自分が気付かない間に、銃を射つ手はいつの間にか止まっていた。
敵もいきなり現れた人物に動揺を隠せないらしく、飛んでくる弾は先程と比べかなりまばらになっている。


「羅正門」


手をポケットに入れたまま、その人は静かにそう言った。その瞬間黒い外套が変形し、異形のものへと形を変える。
黒い槍のようなものが敵を貫き、鮮血が飛び散った。一瞬で敵の大部分が倒れ、その傷から赤い水溜まりを作り出す。
でもその人は、そんな敵を見て、舌打ちをした。
それを見て、首をかしげる。


「……何をしている。残党を始末しろ」

「す、すみません!」


言われて、慌てて引き金を引いた。
この人の事になると、どこか上の空で考え事をしてしまうのが私の悪いところだ。

しかし一言声をかけてくれたのだ。これなら最後まで邪念を無くして頑張れるかもしれない。……いや、この時点で邪念はありすぎるか。

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にゃご(プロフ) - 伏見柚希さん» 返信遅れて申し訳ありません!感想ありがとうございます!感想を書いていただけると本当にモチベーションが上がります……。これからも頑張りますので、更新は遅くなると思いますがこれからもよろしくお願いします。 (2018年4月10日 18時) (レス) id: 489959ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
伏見柚希(プロフ) - 書いてくださってありがとうございます。読んでいて猫とたわむれる社長をまじかで見てみたい気持ちになりました。これからも頑張ってください。 (2018年4月8日 22時) (レス) id: 269e1b2b92 (このIDを非表示/違反報告)
にゃご(プロフ) - あかりさん» ありがとうございます!そう言って頂くと本当に頑張ろうと思えます……。だいぶ更新は遅いですが、これからもよろしくお願いします! (2018年4月7日 12時) (レス) id: 489959ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 書いて下さってありがとうございます。なんだか心が温かくなりました。国木田さんの笑顔見てみたいですね。国木田さん推しなんで、国木田さんが笑顔になったら、ドキドキして顔が赤くなりそうです。これからも頑張ってくださいね。 (2018年4月6日 5時) (レス) id: 860abbe074 (このIDを非表示/違反報告)
にゃご(プロフ) - 紅茶さん» そう言って頂くととても励みになります。これからも頑張ります! (2018年4月2日 23時) (レス) id: 489959ffd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にゃご | 作成日時:2017年6月30日 13時

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