短編集＊ (ページ19)

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青い眼を持った問題児４ページ19

そして、今。

「今日は転校生を紹介する～！」

教師の後ろに立っている人物に、ざわざわとクラスが揺れていた。

「え、かっこよくない？」

「嘘ぉ。すっごいタイプ…」

「イケメンゼロのこのクラスに…イケメンが…イケメンが……」

確かに整った顔だ。

スラリとした手足に、爽やかだけど甘いマスク。

涼しげに揺れる茶髪もサラサラとしていて男の雰囲気をさらに引き立てていた。

「えー、っと。稲沢碧人です。兄弟は…双子の姉がいて、好きなものはリンゴです。これからどうもよろしく」

イメージを崩さない爽やかな笑みを見せた男に、心臓がどきりとはねた。

男の笑みに見惚れたからではない。

……稲沢、双子の姉、リンゴ。

中学の時のあの子を＿＿＿＿思わせる単語だったからだ。

アノ子も稲沢といった。双子の顔の綺麗な自慢の弟がいるといった。リンゴがとても好きだと、言った。

「じゃ稲沢。早乙女……あー、派手な格好のやつの隣空いてるから、そこ座って」

どんどん近づいてくる距離に私はただ男をじっと見ていることしかできず＿＿＿＿。

「……よろしくね」

私に動じず笑いかけてくる男に、ただ戸惑った。

クーラーではなく窓から運んできた夏に染まった風は＿＿＿どこか、これからの出来事を思わせるような優しい風だった。