【短編集】関西弁男子に夢中【実況者】 (ページ3)

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03【ふぁんきぃ】ページ3

ゆっくりと目を開ける。

そこはある意味、見覚えのある天井。

白い天井にベッドを囲むようにつられたカーテンレール。

ここは病院か。

わしまた倒れたか？

あかん、なんも覚えてない。

「ふぁんくん！目が覚めたの？！」

隣から女の声が聞こえ、そちらに目を向ける。

「ふぁんくんが車に轢かれたって聞いて、私...」

見知らぬ女が、馴れ馴れしく話し掛けてくる。

「えっと...どちらさん？」

誰かわからず問いかけると、女は目を見開いて固まる。

「ファンの子とかかな？やとしたら困るんやけど」

そう言えば、悲しそうな顔をする。

なんやろ、モヤモヤする。

そんな顔せんといてほしい。

「っ、私、お医者さんに目が覚めたって伝えてくるね」

いかんといて。

「ちょっと待って！」

離したらアカン気がして、腕をつかむ。

「わ、わしと付き合わへん？」

とっさに口をついてでた言葉。

わし何言うてんねやろ。

でも、彼女は可笑しそうに笑って、涙を流す。

「もう、なにそれっ」

なんかその顔を見たら、それだけで良かった気がする。

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ちょっと補足。
事故などで、大切な人の記憶だけなくなることがあるそうです。
だから、女の人は、れっきとした、彼女です。