【短編集】関西弁男子に夢中【実況者】 (ページ2)

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02【湯毛】ページ2

「ゆげぽが本当のお兄ちゃんだったらいいのに」

スタジオからの帰り道、ふと彼女がそんなことを零す。

「なんや急に」

そう笑って、返す。

おいて行かないように、ゆっくりと歩幅を合わせる。

「だって、ゆげぽがお兄ちゃんならずっと一緒にいれるでしょ？」

他意はないだろうその言葉に、少し胸が痛む。

お前には、俺はお兄ちゃんくらいにしか見られてへんねんな。

「俺はお前のお兄ちゃんは嫌やけどな」

素直には言えずきつい物言いになる。

「えー、なんでよ、いいじゃん」

そんな言葉でもすねたように口を膨らますだけ。

そういうところも、好きなんやと思う。

「ずっと一緒におりたいんやったら、付き合うか？」

足を止めて、冗談ぽく笑う。

少し前で足を止めた彼女はこっちを見ない。

振られたか。

そう思い歩き出す。

「ずるいよ...」

彼女の隣まで行ったところで、そう呟かれる。

彼女は顔を赤くしていて、こちらを見つめる目は潤んでいる。

「嘘だったら許さない」

少し震えた声で言われる。

それって、期待してええの？

両想いやって。

「嘘やないで...付き合おうか」

改めて、彼女の目を見つめしっかりと口にする。

「うんっ」

そういって笑う彼女を抱きしめた。