物語へのカウントダウン (ページ12)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:1,466 hit

女神ノ日記　忘却ノ青ページ12

あぁ、やってしまった

また守れなかった

私は、如何すればいいの

頭の中でグルグルと渦巻く私に対する疑問を、どうにかして振り切りたかった

だから、私は手を差し伸べたのかもしれない

孤独な彼に、満月のもと、ただただ泣き叫んでいた彼に

「私なら、貴女と一緒に居ても壊れないよ」

彼は、手元に女を抱えていた

ボロボロになった死体を抱えて、咽び泣いていた

絶望に打ちひしがれた彼に、声をかけて、暖かさを教えたいと思った

「ッ…ほ、んま？なら、証明してやッ！」

彼は手元にナイフを出現させて、私に向けて投げた

鋭く、ただ私の身を狙って

紅色のナイフが何本も射出されるように飛ばされる

常識的に考えて、彼の行動には矛盾が生じている

彼はきっと、自らの手で女性を殺したことを嘆いているのだ

だが、私を試すかのように攻撃する

何処か、狂っているのだ

そんな事を考えながら、私はそのナイフを避けて、弾き飛ばし、
彼の喉元に鎌の切っ先を突き立てる

そうすれば、彼は光悦とした表情で私に駆け寄るのだ

それで、私は満たされた

誰かを不幸にしてしまった分、誰かを幸福にさせてそれの釣り合いをとろうなどと

他人に対して要らぬ情をかけて、また不幸にするかもしれないという考えすらほっぽって

「アンタ、強いんやな！なぁ、名前を付けてくれ！俺はアンタだけの物や」

何も知らない無垢な少年のような無邪気さで、彼は言った

自分を、物だと

私はそんな彼を見て、慈しみを持って頭に触れた

そして、私は名付けた

「ゾム。生きて」