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47.恋敵 ページ47

「大勢で昼餉を

 食べられるなんて嬉しいな!」



「本当ですね!私もう腹ペコです!」



「私まで…本当にありがとう。」



 千寿郎くんが腰を上げて台所へ向かおうとしたので、


 私も手伝おうと声をかけた。



「千寿郎くん!

 ご飯をタダでいただくわけにはいかないから、

 せめてお手伝いさせて欲しい。」



 彼は目を丸くして驚いたが、

 すぐに優しく笑って頷いてくれた。



「私もお手伝いします〜!」




「蜜璃さんは先程まで稽古をしていたのでしょう?

 杏寿郎と一緒に少し休んでいて。」




「A、ありがとう!助かる。」




 千寿郎くんと共に台所で昼餉の準備をしていると、

 彼は嬉しそうに話してくれた。



「家にお客さんが来ると、賑やかになって楽しいです。」



「ふふ。それは良かった。」



「Aさん、今はお一人で暮らしているのですよね?

 お時間のある時はぜひ家に遊びに来てください。

 とは言っても、きっと任務でお忙しいのでしょうけど…」



 眉を下げて寂しそうな顔をする千寿郎くんを見ていると


 胸が苦しくなって、思わずその手を優しく包んだ。



「ありがとう。千寿郎くんともっとお話ししたいし、

 たくさん会いに来るね!」



「…はい!」






 お料理を居間へと運んでいる時、

 杏寿郎と蜜璃さんが話す声が聞こえてきて

 ふと部屋の前で足を止めた。






「素敵な簪ですね!お母様のものですか?」



「これか?これは母上のものではない。」



「あ!分かりました!!

 もしかして好きな女性への贈り物ですね!」



 好きな女性への贈り物?


 そうか、杏寿郎だって年頃の男性なのだから


 思いを寄せる人に贈り物だってするよね。




「残念ながら思い人に違いはないが、

 これは俺からの贈り物ではないんだ。」



「そうなのですか?」




 それって…



 少しだけ居間の様子を覗き込むと、


 杏寿郎の手には私が預けていた桔梗の簪があった。




「恋敵から彼女への贈り物だ。

 以前、俺といる時に壊れてしまってな。

 直しに出していたのだ。」




「恋敵からのものなのに修理したのですか?

 それでは敵に塩を送るようなものでは?」




 立ち聞きなんて趣味の悪いことをしたいわけではなかった。



 でも、苦しくなる胸が



 重くなる足が




 この場から身体を動かせなくしていた。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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