検索窓
今日:11 hit、昨日:54 hit、合計:94,972 hit

30.強くなるために ページ30

「千寿郎、A!

 居間の掃除終わったぞ!」



「兄上、ありがとうございます。

 昼餉の支度も整ったので居間へ運びますね!」



「うむ!俺も手伝おう!」



 私も千寿郎くんの後に着いて居間へ料理を運ぼうとした時、


 杏寿郎に呼び止められた。



「A、ありがとう。」



「ん?お料理はもう出来上がっていたから、私は何も。」



「いや、そうではない。」



「え?」




 杏寿郎は私の頭をわしゃわしゃと撫でた。




「なんでもない!」




「え?ええー!?何?


 もう〜、髪の毛ぐしゃぐしゃだよ〜!」




 私は一度机に料理を置くと少し離れて簪を取った。



 すると杏寿郎は私の背後にまわり、


 
 器用に私の髪の毛を束ねて手を差し出した。




「簪、渡してごらん。さしてあげよう。」




 優しい声の音になぜか息が苦しくなる。




「ありがとう…」




「素敵な簪だな。」




「…うん。」





 一瞬の出来事のはずなのに、




 まるで時が止まったかのようにとても長く感じた。











 昼餉を食べ終えると、



 私と杏寿郎は煉獄家の庭で稽古を始めていた。




「右!左!もっと全身を使って…!」





「良い動きだ!もう少し踏み込んでこい!」





 杏寿郎との手合わせは


 祖父の稽古よりも厳しくて…


 意識が飛びそうになる。





「はあ…はあ…」




「少し休憩しよう!」




「いや…まだやれる…!


 もう少しだけ…」




 私がそう言うと、杏寿郎は突然私を横抱きにした。




「な、何!?」



「君はこうでもしないと言うことを聞かないだろう?」




 そんなこと…




 なくはないかもしれないけれど…




 これはさすがに恥ずかしい。




「分かった!分かったから下ろして…!」



「ははは!それは聞けないな!」




 杏寿郎はそのまま私を縁側に下ろすと、

 私の隣に腰をかけた。




「無闇に刀を振り回すだけが鍛錬ではない。

 稽古を振り返ることも大切だ。」




「うん…」




 そうだよね。





 顔を上げて天を仰ぐと



 空には雲がひとつもなく青く澄み渡っている。






「杏寿郎…お願いがあるのだけど聞いてくれる?」




「君の願いなら喜んで聞くぞ!」





 私には力が足りない。



 それは十分理解しているつもり…



 でも、少しでもあなたに近づきたい。



 強くなりたい。






「私に炎の呼吸の技をもっと教えてください。」

31.静かに色づく葉→←29.心の目で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
318人がお気に入り
設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。