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24.予期せぬ ページ24

杏寿郎が支払いをしている間


 私はお店の外に出て天竺葵を眺めていた。


 薄く色づく黄色の花弁が優しい。




「あれ?お嬢さん一人?」


「君、綺麗な顔してるねぇ。」


「俺たちと一緒に来ない?楽しいことしようよ〜」


 声をかけてきた男の人たちは

 歳は少し上くらいで、体格が良い。


「楽しいこと?」


「そう。楽しいこと…」



 囲まれると随分と威圧感があり、

 まるで壁みたいだ…



 男の一人が私に手を伸ばそうとした時だった。



「俺の恋人に何か用か?」



 店から出てきた杏寿郎に不意に肩を抱かれた。


 私よりも背の高い杏寿郎を下から覗き込むと


 口角は上がって笑っているのに、

 鋭い目を相手に向けている。



「チッ…連れがいたのかよ。」



「よお、兄ちゃん。

 ちょっと君の恋人借りるぜ…」



 男がそう言って


 私の顎に触れそうになった瞬間、


 杏寿郎は男の腕を掴んで睨みつけた。




「恋人を貸すことなどできないな。

 それに彼女はものではない。

 
 ここで無駄な争いなどしたくないのでな…」



 彼は掴んだ手に力を込める。



「うっ…こいつ…な、なんて力…」



「去れ。」




 ものすごい剣幕と気迫に男たちは去っていった。




 杏寿郎はそっと寄せていた肩を離すと


 眉を下げて微笑んだ。



「A、恋人などと言ってしまってすまない。」



「追い払うためでしょう?


 謝る必要なんてないよ!むしろありがとう。」



「そうか!

 いや…その、君も思うことがあるだろうし、

 勝手なことで気分を悪くしなかったかと…」




 きっと過去のことも考えてくれているんだ。


 そこまで心を推測ってくれるなんて…


 今は気にしないでいいのに。





 
 伏せた目のまつ毛が長くて綺麗で


 つんっと高い鼻筋に


 少し開いた口がなんだか色っぽくて…




「杏寿郎は優しいね。


 私は…」




 

 あれ…




 私…




 この先何て言おうとしたの?




「ん?」




 杏寿郎が私の顔を覗き込む。





「な、なんでもない!


 買い物終わったよね?


 そろそろ煉獄家に向かおう!」




「うむ!そうだな!」






 私は…




 嫌じゃなかったよ。






 嫌じゃ…





 なかったの。

25.煉獄家→←23.横顔



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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