32.コ〇プ待ちの主婦、頼むから階段で溜まらないでくれ。 ページ32
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「ふー…」
分厚い本を閉じて時計を確認すると、
もう少しでチャイムがなる時間になっていた。
ちょうど読み終わったし、そろそろ教室に戻るかな。
他の生徒も何人か既に戻ったようだ。
本を持って立ち上がり、ドアの方へ体を向ける。
「あ…」
赤い瞳と目がバッチリ合ってしまった。
と言うよりもしかしてずっと見られてた?
さすがにそれは妄想が過ぎるか…
「えぇっ、と…」
「お前…
まさか名前を呼ばれるとは思わず、少し返事が遅れてしまった。
にしても慣れないなぁ…この名字。
「へ、ああ。うん。
でも反応しずらいから、Aって呼んでくれよ。」
「は?自分の苗字だろ?」
少年は訳が分からないというように眉間に皺を寄せた。
やっべ余計なこと言っちまった。
どうしよう親とかに言われたら…
一瞬で噂広まるじゃん、
主婦は井戸端会議が大好きなんだから!!!
「んー…まあ、そうなんだけどね。
えっとそれで…何か用かな…?」
適当に誤魔化しておこう。
「…ああ、その本…」
少年はぼくの持っている医学本を指さした。
どうしよう、それ図書室のじゃねーだろ!とか言われたら…
…いや、それは別にいいのか。
「これ?」
「一日でいいから貸してくんねえか?」
えぇ…これ子供が読む本じゃないよ?
小学生にとっては結構難しいよ?
ぼくが言うのもアレですけど…
「あー、それは構わないけど…
実はこれ、色々書き込んじゃってて…」
「知ってる。見てたからな。」
はい見られてたー!
なんで視線に気づかなかったんだろ。
そんなじっくり見てたの??
てか本読めよ図書室なんだから。
「そう?それでもいいなら。」
あんまり他人に物を貸し出すの好きじゃないんだよね。
あ、消しゴムとかは別よ?
何日か貸すとかそういうの。
親しい仲なら全然いいんだけどね。
まあ…見てると物をガサツに扱うような子ではないし、大丈夫かな。
ぼくが本を渡すと、適当に開いた場所をじっくりと見て、本を閉じた。
「……お前なら、」
「え、」
まだ何かあるの!?
もうすぐチャイム鳴っちゃうよ?
「これ、どう説明する。」
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33.人に説明するということは自分の理解力を高めるということである→←31.見つける系の本みんな読むじゃん
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529zinbeizame(プロフ) - めっちゃ面白いです!いっきに読んでしまいました!更新待ってます! (2022年12月19日 17時) (レス) @page50 id: c26de05c7b (このIDを非表示/違反報告)
駄犬(プロフ) - なななさん» ありがとうございます!更新遅めかもしれませんが、気長にお待ち頂けると幸いです! (2021年2月23日 22時) (レス) id: b9e2d575e7 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 駄犬さん» 分かりますっっ!続き楽しみにしてます(*´∀`*) (2021年2月23日 14時) (レス) id: ef41d0a457 (このIDを非表示/違反報告)
駄犬(プロフ) - なななさん» ほぼほぼ作者の愚痴みたいになってしまいましたけど、共感してもらえたということはそう考えているのは私だけじゃないと言うことですね!?どうしてもドS系が出てくる恋愛漫画とかイライラしちゃうタイプですw (2021年2月23日 13時) (レス) id: b9e2d575e7 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - なぁにがドS系だよ。 ただ威張り散らしてるだけじゃねぇか。 はっ倒すぞ???(ただの悪口) Mがいないと成立しないんだよSは!!←自分「分かりみが深いっっっ!神か?」 (2021年2月23日 0時) (レス) id: ef41d0a457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駄犬 | 作成日時:2021年1月15日 22時