８．さっきまで話してたのに。 ページ8
．
「爺ちゃん、来たよ。」
病室のドアを開けて爺ちゃんの寝ているベッドまで行くと相変わらずしかめっ面で不機嫌そうな顔をしていた。
「来んなっつったろ。
いちいち花なんか買ってくるんじゃねぇ。」
「いつも通りでしょ。
ぼくが花好きだから買ってんの。」
花のラッピングを取りながら爺ちゃんの話を軽く流す。
「尚更だ馬鹿！貯金しろ！つーか部活はどうしたよ。まさかサボりじゃねーだろうな。」
「５時前には終わんの！
どうせ帰ってもやる事ないから…もういいでしょ。」
「よし。じゃあ暇な俺の話を聞け。」
もう、やだな。こういうの。
無視した振りをして花瓶に水を入れる。
「いいかよく聞け。
A、最期に言っておきたいことがある。
お前の両親のことだが、」
「興味無いし。爺ちゃんさ、死ぬ前にカッコつけようとするのやめてくんない？」
ほんとに最期みたいになっちゃうからさ。
口には出さないけど。
「男はなカッコつけて死にてえんだよ！
空気読め！クソ孫が！」
「はいはい、いちいちキレないの。
…いいんだよ、いつも通りで。」
そう、いつも通りでいいんだ。
「ケッ、ゆとりがよ。」
そう言ってぼくがいる反対側へ寝返った。
「…A。」
「ん？」
花を花瓶に生け、振り向く。
「お前は強いから人を助けろ。」
「手の届く範囲でいい。救えるやつは救っとけ。
迷ってもいい、感謝されなくても気にするな。
とにかく一人でも多く助けてやれ。」
思わず花瓶を持つ手が震える。
「それに、多分お前はその方が
「…！」
「お前は、大勢に囲まれて死ね。
俺みたいに、なるなよ。」
「…爺ちゃん？」
そして、花が散った。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 469人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘蜜 蜜華(プロフ) - 駄犬さん» 好きです！頑張ってください！ (2021年1月14日 15時) (
レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
駄犬(プロフ) - 甘蜜 蜜華さん» ありがとうございます！空白の部分はこだわったのでそう言っていただけるとありがたいです！ (2021年1月14日 15時) (レス) id: b9e2d575e7 (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜 蜜華(プロフ) - わぁ！……わぁ！(空白の部分の読み方に感動して、語彙力低下中。) (2021年1月13日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
駄犬(プロフ) - 柊さん» うわ！本当だ！言われて気づいた…(--;) やったぁぁぁ！ありがとぉぉお！これからも頑張るね！！呪いの王も楽しみにしてる！！ (2020年12月14日 23時) (レス) id: b9e2d575e7 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - こんばんは！柊です！！いつも更新お疲れ様ですそして！！お気に入り登録者数300人突破おめでとぉぉぉ！！！これからも巡り巡って楽しみにしてます！！してます！！ (2020年12月14日 23時) (レス) id: 4b9950989a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：駄犬 | 作成日時：2020年11月23日 20時
