苦しい恋

どうして・・・ ページ28

タクシーから降りて



つまづきそうな自分に



笑ってしまう･･･



A｢･･･飲み過ぎたぁ･･･｣



酔った顔に、夜風がなんか



心地良い･･･



ふらふらした足取りで



アパートの入り口まで歩くと





A｢･････････なんで｣




西島｢おっ！やっと帰って来た｣




A｢･･･えっと･･･どうしたの？｣




西島｢いや･･･なんか･･･ちょっと気になって｣




A｢気になる？｣




西島｢ちゃんと帰ってるかなぁって｣




A｢･･･子供じゃないんだから｣




西島｢それに、なんか最近
女の子らしくなったり･･･連絡くれなく
なったり･･･久々に会ったら、髪が短く
なってたり･･･｣



話しながら、ゆっくり私に近づき




さっきみたいに、お兄さんの手が



私の頭をなでる




A｢･･････｣




西島｢･･･だいぶ飲んだ？｣




A｢く、クサイですね･･･｣




西島｢クサイ｣




A｢･･･たまには飲みたい時も
あるんです！｣



西島｢なんかあった？｣



私を覗き込みながら



優しい眼差しで見つめてくるお兄さん･･･



全部、お兄さんのせいですよ！




女の子らしい服装したのも



髪の毛切ったのも



連絡を取らないようにした事も




全部全部、お兄さんのせいなのに･･･



A｢･･･大丈夫｣




西島｢ん？｣




A｢お兄さんに話しても
どうせわからない事だから｣



西島｢･･･そっか｣



なでてくれてた手が



離れていく･･･



お兄さんもだいぶ飲んでいるようだ




A｢あの･･･お水飲んで行きますか？
なんか、だいぶ酔ってるみたいだから｣




西島｢ん〜･･･やめとく･･･
俺、酔ってるから｣




A｢なら、尚更、お水･･･｣



西島｢いや･･･帰った方が良さそうだ｣



大通りに歩き出すお兄さん･･･




A｢･･･なんで｣



なんでいつもお兄さんに



気持ちが向いてしまうんだろう･･･



髪の毛切って、想いを断ち切ったはずなのに



今すぐにでも、お兄さんの手に触れたい



その大きな手で、もう一度



頭をなでて欲しい



自然に流れる涙が零れないように



アパートへと足を運んだ･･･

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