帰りに一杯 ページ48
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事務所に戻って簡単に報告してから、誰にも捕まらないうちにさっさと退社して、行きつけの居酒屋さんにやって来た。
ガラガラとドアを引いて暖簾をくぐれば、「お、久しぶりだねー」っておじさんが迎えてくれた。
「また全然飯食ってないのかい？」
「ううん、食べてるよ。今日はいい事あったから美味しいお酒とご飯食べにきました！」
ほんの数時間前までの夢みたいな時間を思い出すだけでゆるゆるになるほっぺ。締まらない顔でヘラヘラしてたら、おじさんも笑ってビールを出してくれた。
「嬉しいこと言ってくれるなぁ〜なら好きなもん好きなだけ食べて飲んでいきな！」
「わはーい！」
美味しいお酒とご飯をまたたんまり食べさせてもらって、ほかほかした気持ちでお店を出た。
最後のテレビ収録もがんばるぞーい！
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最後のステージは初めてステージに立ったMカ。
やっぱり緊張したし、記憶も曖昧だけど覚えてることもある。観客席にいる人たちを見る余裕もあったし、あ〜楽しかったなぁって思ったこととかね。
そして初めて、一位の瞬間に立ち会えた。
初めましての人ばかりなのにお祝いしてくれて、なんて優しいんだと思わず笑いながらも泣いてしまった。
なんか私最近涙腺弱くない？歳のせい？
「初めてのステージで慣れないことも多かったですが、ここに立たせていただいて、一位をいただけた瞬間は私の一生の宝物です。支えてくださった事務所の方々、先輩達、音楽を聴いてくださったみなさんに心から感謝します。これからも良い音楽を作っていきます。ありがとうございました」
ツイッターで文字で伝えたお礼を改めて口で伝えられてよかった。どうか伝わってますように。
出演者がはけた後のステージで１人アンコールを歌ってると、急にものすごい歓声。
え？何事？って周りを見渡せば、なんか見覚えのあるおっさ、ゲフン…オッパが。
「今までお祝いできなかったからサプラーイズ！」
ニヤニヤしながら出て来たHOMMEの２人に、驚いた？なんて顔を覗き込まれて、せっかく締めてた涙腺がまた緩む。
くっそーこの人達の前では泣きたくないのにぃ。
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作者名：tnk | 作成日時：2016年10月16日 22時
