考えるな 感じろ ページ14
*
人前で歌を歌ったのっていつぶりかな？
もしかしたら大学の学園祭以来かもしれない。
それって何年m、…いや、ちょっと恐ろしすぎるから深く考えるのはやめよう。
ジミンに連れて来られた道端で、なぜか歌う羽目になってしまった。
ほんと、何故。
君の思考がたまに分からないよヌナは…。
で、その訳が分からない状態のまま、諦めモードというか開き直りというか。とにかく歌ってみることにした。
初めはやっぱり恥ずかしさが勝って小さかった声も、一曲歌い終わる頃には普通に出るようになって。次の曲は作業室で歌う時と変わらないくらい、落ち着いて歌えるようになっていた。
なんだ意外と変わらないじゃん
って思ったところも
うわ、こんなに違うの？
って思ったところもあって。
歌いながらそういう発見があるのは楽しい。
防弾少年団の歌や、他のアーティストの曲、ジャンル関係なく好きな歌を歌っていくうちに、ジミンだけだったお客さんは、いつの間にか半円を描くように人だかりができるほどになってた。
「〜…、…ありがとうございました」
最後の曲を歌い終わると、起きる拍手に照れくさくてペコリとお辞儀する。
ギターを片付けながら目の前のジミンを見れば両手で頬づえついてにこにこ。
「なーに、そんなにこにこして」
「へへ、ヌナも」
「え？」
「ヌナもにこにこしてるよ」
そう言われて、頬に手をやる。
ほんとだ。
ゆるっゆるじゃん。
あぁ、楽しかったんだなぁ、私。
「ね、ヌナ」
「ん？」
「ヌナの悩み、ちょっとは解決できた？」
この子がどこまで知ってるのかは分からないけど。それでも突拍子も無い思いつきに助けられたのは事実。
「ありがとう、ジミナのおかげだね」
「へへ、どういたしましてー」
「さ、帰ってお礼に特訓の続きするぞー」
「ええー！？明日にしてぇー！」
*
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作者名：tnk | 作成日時：2016年10月16日 22時
