思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

3 噂 ページ4

炭治郎side


その子について教えてもらったのは大親友の善逸だった。

昼下がり、屋上でお弁当を二人開いていた時の話だ。
俺は冷静な顔つきで善逸に問うと彼は顔を真っ赤に染めて興奮気味で語る。


「はっ、花染さん！？炭治郎からその名前出るなんて意外すぎるよ！ええ！？」

「彼女はどういう人なんだ？」

「炭治郎からそんな名が出るとはやはり炭治郎もキョーミあったんだねえ」


「うふふ！」なんて気色悪いことを言い出す善逸を横目に見ながらも
俺はお弁当に入っていた彩り豊かな総菜に手を付けていた。
善逸はというと「分かってくれるか！」なんて言って俺の肩に手を回し始める始末。


「善逸…一体何がそんなに嬉しいんだ…」


呆れた口調で俺が喋れば善逸はにやにやとしてこう言う。


「だーかーら……」


善逸は俺にこっそりと耳打ちをする。
その善逸の口から出てきたものは意図もしていなかったいかがわしい言葉や羅列。
そして善逸から発しられたいかがわしいその単語に俺は思い切り善逸の頭を叩いてしまった。


「いったああっ！酷いよ、たんじろおっ！」


屋上に響く大きな善逸の声。
俺は流石に急すぎて善逸が言った下ネタ発言には頭を叩く以外の選択肢が思い浮かばなかった。


「なんでそんな卑猥なこと言うんだ！！」

「ありのままのこと言っただけじゃん、酷いよぉ〜」


善逸は数分の間はうなだれていたが途中から「炭治郎も顔真っ赤だぞ」なんて言い出すから
俺は善逸の目を必死に隠そうとし軽く乱闘を起こしそうになってしまった、喧嘩だ。


「あのさ、炭治郎…その程度の下ネタぐらいは許されるって」

「何がだ、あんな恥ずかしい単語言っておいて…反省するんだ善逸」


俺の様子を見て善逸は「これだから田舎坊主は」なんて言うものだからまたちょっと喧嘩。

どうして善逸はそんな単語を発したんだ、あまりにも唐突だった。
花染さんとどのような関わりがあるんだ、訳が分からない。


「いい加減、真面目に話をしよう善逸…どういうことなんだ？」

「…花染さんは炭治郎の隣のクラスにいる子で別名『魔性の女』って呼ばれてるんだよ」

「…『ましょうのおんな』？」


俺は聞きなれない言葉に動揺する。


「そう、いろんな男の人を自然とメロメロにしちゃうんだよ、虜にするって言った方がいいかな」


善逸が語ってくれた内容は俺が初めて知るようなことで少し興味が湧いてきていた。
それは実に不思議で俺には無縁だと思うほどの話だった。

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