思春期たんじろ恋をする【キメツ学園】

25 体育館倉庫 ページ26

炭治郎side


善逸と話した数日後。
俺は宇髄先生に美術の課題を出すために職員室に訪れた。
デッサンの課題だ、俺だけやけに時間がかかってしまったために。

先生の席まで行くと宇髄先生と冨岡先生が話しているのが見えた。
邪魔してはまずいだろうな、とは思ってはいたがつい耳に入る先生の会話。


「体育館倉庫の鍵？」

「ああ、冨岡が管理してるんじゃないのか？」

「鍵は生徒でも器具が取り出せるように職員室での貸し借りをしているのだが」

「それで変な生徒が借りてかなかったかなって」


何か問題でもあったのだろうか。
神妙な顔つきをしているのがやけに気になる。
でも俺には関係ない話だと思い聞かなかったことにする。


「あの…お取込み中すいません、課題を提出しに来ました」

「ああ、竈門か！さんきゅ」


宇髄先生はひょいっと俺の課題を受け取った。
あまりにも微妙だなって顔をしている、それでも頑張ってデッサンしたのになあ。


「そういや竈門、お前は体育館倉庫の鍵とか頻繁に借りてるやつとか知ってたりする？」

「えっと……？」

「どうやら鍵が一日中借りられていたりするらしくてよ、でも誰が借りてるのか分からねぇんだよな」


急にさっきまで話していたことを普通に俺にまで話すものだから
体に入っていた芯のようなものがすっと抜けて行った。
無駄に緊張してしまっていた。

話を段々と聞いているうちに内容が理解できた。

どうやら最近体育館倉庫の鍵が頻繁に借りられているらしい。冨岡先生の知らないときにだ。美術の授業で使うモチーフのボールを体育館倉庫に借りに行こうかと宇髄先生が試みたところ、職員室に体育館倉庫の鍵がないことが発覚した。冨岡先生に確かめるも、冨岡先生が完全に管理しているわけでもないようでどの生徒が勝手に借りて行ったかが分からないとのことだ。少し時間が経てば鍵が返されていたり借りられていたり…その繰り返しが何日か続いている状況らしい。


「知りませんね…」


一連の話を聞いた。
自分には関係のない話だ、特に干渉できるようなものではないな。


「そうか〜、お前はよく職員室に用があることが多いし知ってることがあったと思ったんだけどなぁ、まあ何か分かったら教えてくれ」

「は、はい！」


返事をしてそのまま職員室を後にする。
確かに俺はよく職員室に出入りするししょっちゅう資料室の鍵を借りている。
だからきっと俺にすぐ聞いたのだろう。

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