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15 階段裏 ページ16

炭治郎side


なんだかんだで季節はいつの間にか夏に切り替わっていた。

俺はあの事件以来、Aからは距離を置いて資料の整理をした。
お勉強を教えたのもあの一回きりでAは距離を置かれてもいつも通りで…。
時々大胆なことをしてきても上手くスルーをしようとした。
受け入れたら全てが狂ってしまいそうで耐えるのに必死だった。

やはり冨岡先生の言っていたことは本当だった。

暑い太陽が汗を流させてじっとりと体に熱を植え付ける。
制服も半そでになり蝉の声がうざったく感じる。

俺は一人、校舎の階段の裏で涼んでいた。
風が心地よくこの場所は誰にも譲りたくないし教えたくない。
資料室も十分落ち着けるがAもいるだろうし一人で落ち着けるのはこの場所だった。

それにしてもどうして彼女はあんなに大胆で誘うような匂いがするのだろう。
魔性の女って呼ばれる理由はこれで十分分かったのだけどなぜそうなったんだろう。
考えれば考えるほど謎は深まるばかりだった。

弄んでいる、と言うあたり、彼女は自分の長所を知っているから男の誘惑ができる。
自然とそうなってしまうものなのだろうか。

色々考えてしまった後で彼女がいてもいなくても俺は彼女を意識してしまっていることに気づく。
ああ、どうして!彼女の意図通りだ!

Aの名前を知った日から今の今まで俺はずっと彼女に頭の片隅を支配されている。
前にいやらしい雑誌を見せられた時にも彼女の顔が浮かんできてしまった。

ずるずると壁に背をつけてくたりと座り込む。
中学生のとき、面白半分でいやらしい話をする輩はあまり得意では無かった。
恥ずかしかったこともあったが下らないと思ったし随分と冷めていた。
なのに高校に上がったとたんこれだ。


「はあ、どうしてこんなに意識しちゃうんだ」

「大丈夫?炭治郎…ため息なんかついて」

「冷静さが保てないんだ…邪なことは一切ないのに考えてしまう」

「…そっかあ、やっぱり私が原因なのかな?」


顔が青ざめていくことが分かった。
それもまあ効果音が付くほどに。

隣に目を送るのが怖かった。
ついに幻覚を見るまでに至ったか?
俺はゆっくりと視線を落とし目を瞑った。


「あの…A?」

「うん、どうしたの?」

「そっちこそどうして」


ああ、居る。
今俺の隣にしっかりと居る。

彼女は暑いのにも関わらずきゅっと距離を詰めた。
それはまあ実に儚げな声で呟いた。


「…炭治郎、私のこと避けてる?」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎 , キメツ学園   
作品ジャンル:恋愛
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琴音 - めちゃくちゃ、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年4月5日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - chiaki0708さん» 本当に感謝です、指摘いただいてなかったら一生あのままでした…泣 (2021年12月4日 13時) (レス) id: 77e8970457 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - 俺の???彼氏???夢主ちゃんおとこ? (2021年12月3日 22時) (レス) @page39 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ふわむにゃ(プロフ) - りんないさん» コメントありがとうございます…!夢主ちゃんとことん可愛く脚色させて頂きました、私も可愛く生まれたかったです(笑)更新遅めですが頑張らせて頂きます! (2020年6月8日 1時) (レス) id: a6eb1143e2 (このIDを非表示/違反報告)
りんない - 炭治郎がいろいろ困ってるのかわいすぎます…!夢主ちゃんみたいな可愛い子に生まれたかった…更新頑張ってください!! (2020年5月30日 19時) (レス) id: 99e12d5a0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふわむにゃ | 作成日時:2020年5月21日 2時

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