#144『増えた楽しみ』 ページ9
「・・・・・・あの時の少年ですね」
「ええ、漸くお会いできた」
条野の口角が上がった。
「何故、あの時血の匂いがしたのですか?」
「・・・・・・覚え間違いでは?」
「勿論、そうだと私も思いますがね。如何せん十年前の嗅覚の記憶ですから」
「私が貴女を探していたのは単純に無事を確認したかったからですよ。
仮に私の記憶が正しいとしてその少女が生きているか知りたかったのです。出血多量で亡くなっている可能性もありますからね」
朔は、安心の息を吐いた。
条野はどうやらあの血の匂いは朔自身の血だと思っているようだ。
「この通り僕は元気に生きていますよ」
朔は肩を竦めて見せた。
「条野、逢引か」
朔の後ろから声がした。
そこに立っていたのは黒く跳ねた髪、目元に独特の痕を持つ男――――末広鐵腸が居た。
猟犬最強の男だ。
「鐵腸さん、ふざけないで下さい! 後、なぜ貴方が持っているものからパフェのようなものと共に醤油の匂いがするのですか!」
・・・・・・あれは黒蜜ではなく醤油なのか
「黒蜜に似ているからだ。美味いぞ」
条野と鐵腸は言い合いを始めた。
・・・・・・デジャブですね
国木田と太宰に重なって見えた。
その時ポッケトの中に入っている携帯が震えた。
「では、僕はこれで」
一応、断りを入れ、千円札をテーブルに置くと席を離れた。
「もしもし?」
『朔、『黒髪の撫子』が見つかったぞ』
そこで朔は当初の目的を思い出した。
「分かりました、すぐ行きます」
国木田に言われた公園に朔は急いで向かった。
・・・・・・また会う時が楽しみですね。
彼はどんな顔をするでしょうか、朔は笑った。
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飛沫(プロフ) - ゑごまさん» コメントありがとうございます。この作品を好きになってくれて嬉しいです!!他の作品も・・・・・・感無量です。今日で定期考査も終了するので随時更新を再開したいです!!ゑごまさんも体調にお気をつけて下さい。 (2020年7月31日 7時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 初コメント失礼します。この作品大好きで、最近また最初から読み返してます。飛沫さんの他の作品もよく読ませてもらってます!こんな大変な時期ですが更新頑張ってください!お体にも気を付けて! (2020年7月30日 22時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 雪月さん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても光栄です!!期末が終わったら更新が再開出来る筈なので少しお待ち下さい!!これからもご愛読お願いいたします! (2020年7月13日 21時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 入社試験の方も読ませていただきました!面白いですね!忙しいかもしれませんが、更新頑張ってくださいね! (2020年7月13日 0時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 朱鷺の砂さん» 読んで下さりありがとうございます。今学業の方が忙しく中々更新が出来てませんがどうぞよろしくお願いします。 (2020年7月2日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年5月1日 13時