#159『次期頭目』 ページ25
ドアが音を立てて開いた。
入って来たのはイワン・ゴンチャロフ。『死の家の鼠』の構成員で侍従長だ。緑色の長い髪に頭に巻かれた包帯が特徴的。
手に持っている盆の上には菓子と紅茶が乗っている。
「お久しぶりですね。ゴンチャロフさん」
「お久しぶりです、サーシャ様」
何度も言ったかが『様』を外してくれない。僕如きに『様』なんて・・・・・・。
「三年ぶりですね」
「ええ、一段と美しくなられました」
侍従長は恭しく頭を下げる。僕の方が歳下なのに。
「サーシャ様の大好きだったアップルパイです」
ゴンチャロフはベッドの横にあったテーブルの上に置いた。
「ありがとうございます! ゴンチャロフさんも一緒にどうぞ。積もる話でも」
朔の顔に浮かぶ笑顔は子供のようにあどけなかった。
その笑顔にゴンチャロフも自然に口元に笑みを浮かべた。
ゴンチャロフは椅子の上に腰掛けた。
「フェージャは何処に居ますか?」
「そろそろ来られますよ」
「そうですか」
朔の周りに蝶が飛んでいるのがゴンチャロフに見えた気がした。
朔の口数は何時もの5倍ぐらい増えていた。
懐かしい人達に会ってテンションが爆上がりしいていると同時に精神年齢は下がっている。
「探偵社はどうですか?」
ゴンチャロフのその言葉に朔、否サーシャは口角を上げた。
仕事の時に称える、偽物の笑顔。ゴンチャロフは背中を伸ばした。
「作戦ではゴンチャロフさんがもしマフィアか探偵社が侵入して来たらお相手するんでしたね」
サーシャは目をスっと細めた。
「気をつけるに越したことはありません。僕の予想では侵入してくるのは探偵社だと中島敦でしょう。
彼は最近異能の力を制御できたばかりですが、あのフィッツジェラルドを倒した1人です」
「マフィアだと芥川龍之介か中原中也か、色々な択数があるますね。
特に芥川龍之介もフィッツジェラルドを倒した1人。そして中原中也は重力を操る。貴方の『断崖』をいとも簡単に破壊しかねません」
ゴンチャロフは寒気を感じていた。さっきまで味方だった方々の情報を意図も躊躇わず述べられる。
きっと、サーシャは仲良く接してきた筈なのに簡単に友人のような方々を売る事ができる。
これが、死の家の鼠の次期頭目、ゴンチャロフは目を見開き笑った。
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飛沫(プロフ) - ゑごまさん» コメントありがとうございます。この作品を好きになってくれて嬉しいです!!他の作品も・・・・・・感無量です。今日で定期考査も終了するので随時更新を再開したいです!!ゑごまさんも体調にお気をつけて下さい。 (2020年7月31日 7時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 初コメント失礼します。この作品大好きで、最近また最初から読み返してます。飛沫さんの他の作品もよく読ませてもらってます!こんな大変な時期ですが更新頑張ってください!お体にも気を付けて! (2020年7月30日 22時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 雪月さん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても光栄です!!期末が終わったら更新が再開出来る筈なので少しお待ち下さい!!これからもご愛読お願いいたします! (2020年7月13日 21時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 入社試験の方も読ませていただきました!面白いですね!忙しいかもしれませんが、更新頑張ってくださいね! (2020年7月13日 0時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 朱鷺の砂さん» 読んで下さりありがとうございます。今学業の方が忙しく中々更新が出来てませんがどうぞよろしくお願いします。 (2020年7月2日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年5月1日 13時