#156『バイバイ』 ページ21
マフィアの天井裏に入る。此処からは鏡花の出番。
元マフィアの彼女にとってマフィアは昔の庭。流石元暗殺者、素早い動きで谷崎が向かった最上階の首領部屋に向かう。
その動きに迷いはない。
驚くほどの記憶力に身体能力。朔は関心しながらそれについて行く。
･･････着物でそんなに素早く動けるんだ。
「此処からは出たら首領室」
鏡花が振り返り朔を見る。
「分かりました。では手筈通りに」
お互い頷き会うと朔はかかとを上げ天井裏の板を蹴り落とした。
天井板が落ちると鏡花はそこから夜叉白雪を召喚させ降り立った。
谷崎は窓際で蹲っている。赤色のジャンバーは赤く染まっている。何とか急所は外したようだ。
そして、その傷をつけた本人を見る。
ポートマフィアの五大幹部の一人、泉鏡花を暗殺者に仕立てあげた夜叉使い。
尾崎紅葉。
金色夜叉の刀を夜叉白雪が受け止めている。
朔は鏡花の肩に手を置き、腰に差してある脇差を抜く。
鏡花に退却と指示した。
鏡花は小さく頷いた。
その時黒服が入ってきた。
此処からが僕の役目。乱歩が朔に当てた最初で最後の探偵社での任務。
鏡花と朔は窓際の谷崎の近くまで下がった。
夜叉白雪がガラスを割った。硝子が宙を舞う。
その瞬間朔は叫ぶ。
「谷崎くん、泉さん、逃げて下さい!」
一緒に逃げると思っていた二人は朔を見る。
朔は二人に笑いかける。
これでお別れだというように。
「バイバイ、
二人は目を見開く。朔は思いっきり二人の背中を押す。
朔はビルから落ちた2人を横目で見た。
谷崎はちゃんと夜叉白雪に抱えられ、鏡花はパラシュートと開けている。
ほっと安心の息を吐くと、二人を撃ち落とそうと銃を乱射する黒服に斬り掛かる。
乱歩に仰せつかった朔の任務。命を呈して谷崎、鏡花を逃す。
よくよく考えると乱歩は朔の正体に気づいているのかもしれない。
だから命懸けの盾を僕に命じたのだろう。
面白い、朔は黒服を斬る。人を物理的に斬るのは久々だ。血が着いた脇差を見る。こんなに興奮したのは久しぶりだ。
僕は血を欲している。血に飢えている。
はははは、僕は笑った。
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飛沫(プロフ) - ゑごまさん» コメントありがとうございます。この作品を好きになってくれて嬉しいです!!他の作品も･･････感無量です。今日で定期考査も終了するので随時更新を再開したいです!!ゑごまさんも体調にお気をつけて下さい。 (2020年7月31日 7時) (
レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 初コメント失礼します。この作品大好きで、最近また最初から読み返してます。飛沫さんの他の作品もよく読ませてもらってます！こんな大変な時期ですが更新頑張ってください！お体にも気を付けて！ (2020年7月30日 22時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 雪月さん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても光栄です!!期末が終わったら更新が再開出来る筈なので少しお待ち下さい!!これからもご愛読お願いいたします！ (2020年7月13日 21時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 入社試験の方も読ませていただきました！面白いですね！忙しいかもしれませんが、更新頑張ってくださいね！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 朱鷺の砂さん» 読んで下さりありがとうございます。今学業の方が忙しく中々更新が出来てませんがどうぞよろしくお願いします。 (2020年7月2日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛沫 | 作成日時：2020年5月1日 13時
