#150『黒という色』続き ページ15
暫く沈黙が続いた。一進一退の攻防が盤面で行われている。
「君は『黒』はどういう色だと思うのかい?」
太宰が唐突に口を開いた。
「『黒』は『白』と対比されます。その時、『黒』は悪を、『白』は善を表します」
朔は淡々と述べる。
「『黒』はよくこの界隈では悪を表しますが、そうとは一概に言えません。
裁判官は『黒はどの色にもならないから』という理由で『黒色』の服を身につけています。
正義側の人間でも『黒』に関係する人がいるという事ですね」
朔は駒を進める手を緩めない。
「君は･･････『黒』かい?」
その太宰の言葉に朔はクイーンを持った手を空中で止めた。
「貴方は自分が『黒』だと思いますか？」
朔は太宰の問いには答えなっかた。
「･･････私は、自分が『灰色』だと思うよ」
「そうですか」
そこで再び沈黙が支配した。
「ところで」
今度は朔が口を開いた。
「貴方は何を企んでいるのですか？」
「企み?」
「貴方の後ろの壁に一つ、僕の壁の後ろに一つ、洗面台、台所に一つづつ、玄関に二つ。」
「･･････何がだい?」
「盗聴器、ですよ。あ、まだ天井にもありますよね」
「どうせ、僕に正体を白状させそれを坂口さんに届ける。そして兄さん――――綾辻行人に僕の罪を糾弾させ僕を殺す心算ですよね。
否、その前に僕の情報を抜きとろうとしますか」
朔は太宰が立てたシナリオを淀みなく言った。
太宰はため息を着いた。
「恐ろしい、頭脳だね。･･････流石、次期頭目と言われるだけある」
「僕はフョードル・ドストエフスキーとは無関係ですよ」
「思い出したのさ、
決定的とも言える言葉を聞いても朔は動揺一つ見せなかった。
「私がフョードルと一度だけ会った事がある。その時、彼の隣に立っていた少年は君だろう?」
･･････鎌をかけに来ましたね
朔は細く笑む。
朔は太宰とフョードルが初めて会った場に居なかった、否正確には
二人が対面した場所の後に隠れて居たのだ。太宰の死角に。
普段の太宰なら気づいただろう。だが、太宰が相手していたのは魔人『フョードル・ドストエフスキー』。意識が朔の方に向く筈が無いのだ。
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飛沫(プロフ) - ゑごまさん» コメントありがとうございます。この作品を好きになってくれて嬉しいです!!他の作品も･･････感無量です。今日で定期考査も終了するので随時更新を再開したいです!!ゑごまさんも体調にお気をつけて下さい。 (2020年7月31日 7時) (
レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 初コメント失礼します。この作品大好きで、最近また最初から読み返してます。飛沫さんの他の作品もよく読ませてもらってます！こんな大変な時期ですが更新頑張ってください！お体にも気を付けて！ (2020年7月30日 22時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 雪月さん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても光栄です!!期末が終わったら更新が再開出来る筈なので少しお待ち下さい!!これからもご愛読お願いいたします！ (2020年7月13日 21時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 入社試験の方も読ませていただきました！面白いですね！忙しいかもしれませんが、更新頑張ってくださいね！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 朱鷺の砂さん» 読んで下さりありがとうございます。今学業の方が忙しく中々更新が出来てませんがどうぞよろしくお願いします。 (2020年7月2日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛沫 | 作成日時：2020年5月1日 13時
