#149『チェス』於菟様リクエスト ページ14
そこから、朔とモンゴメリは思い出話に花を咲かせた。
といっても二人が会ったのはほんの僅かな回数のみ。大半が今の生活の事だった。
その時、太宰と敦が『うずまき』に入店した。
敦は驚いた。
普段、表面上の笑みを浮かべている朔が顔を綻ばせており、何時も強く当たってくるモンゴメリも楽しそうに笑っている。
「朔くん」
敦は朔が嬉しそうにしているのを微笑ましく思いながら二人に話しかけた。
「どうしましたか?」
朔の表情は一瞬にしていつもの物に戻った。それに残念に思いながら敦は、ここに来た経緯を述べ始めた。
「否、実は太宰さんが･･････」
「朔くん、チェスをしないかい?」
太宰が途中に割って入って来た。
朔は太宰を見上げる。
とても友好的な誘いでは無いようだ。
「太宰さん! 仕事の相談じゃなかったんですか?」
太宰に利用されたと知った敦は少し憤慨した様子だ。
「これはしっかりとした仕事だよ」
朔ははあとため息をついた。
「いいですよ、太宰さん」
朔はお代をカウンターの上に置いた。
「後、その資料」
朔は敦に抱えられている資料を指さした。
「僕の机の上に置いておいて下さい、どうせ太宰さんが怠慢したものでしょう。」
朔は敦の応答を聞かず『うずまき』を出た。
そして後ろを振り返った。
「太宰さん、何処でチェスをするのですか？」
朔の口元は笑っていたが目は険しかった。
「私の部屋でしよう!」
太宰も笑いながら言った。
傍から見れば友好的な誘いだが、殺気が篭っている。
「朔くんが上がるのは久しぶりだろう?」
太宰の部屋に朔は上がった。蟹缶と日本酒の瓶がそこら中に転がっている。
恐ろしく汚い部屋だ。
でも、蟹缶と日本酒以外殆ど何も置いてない生活感が薄い部屋でもあった。
朔は周りを見ながら畳の部屋に座った。
予め準備してあったのだろうか、チェス盤が転が置いていた。
太宰は朔の正面に座った。
太宰の口元はもう笑っていない。“ポートマフィア幹部”の時代の顔だ。
一方朔は未だ笑っている。楽しそうな純粋な子供のように。
「先攻、後攻、どちらがいい?」
チェスの先攻は白、後攻は黒。
「後攻でお願いします」
太宰は目を細めるとポーンを摘み一つ前のマスに置いた。
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飛沫(プロフ) - ゑごまさん» コメントありがとうございます。この作品を好きになってくれて嬉しいです!!他の作品も･･････感無量です。今日で定期考査も終了するので随時更新を再開したいです!!ゑごまさんも体調にお気をつけて下さい。 (2020年7月31日 7時) (
レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 初コメント失礼します。この作品大好きで、最近また最初から読み返してます。飛沫さんの他の作品もよく読ませてもらってます！こんな大変な時期ですが更新頑張ってください！お体にも気を付けて！ (2020年7月30日 22時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 雪月さん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても光栄です!!期末が終わったら更新が再開出来る筈なので少しお待ち下さい!!これからもご愛読お願いいたします！ (2020年7月13日 21時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
雪月(プロフ) - 入社試験の方も読ませていただきました！面白いですね！忙しいかもしれませんが、更新頑張ってくださいね！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: f9f48108ec (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 朱鷺の砂さん» 読んで下さりありがとうございます。今学業の方が忙しく中々更新が出来てませんがどうぞよろしくお願いします。 (2020年7月2日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛沫 | 作成日時：2020年5月1日 13時
