風が三十九立ち ページ40
私は親孝行できなかった
弟のことだってそうだが、
両親の葬儀の途中に居なくなる娘なんていつの時代にも聞いたことがないだろう
どうしようもない人間でごめんなさい
自分で悪いところはわかっているつもりだし、
良いところなんてこれっぽちもないことだって十分理解している
だけど、こんな私を受け入れてくれて、必要としてくれている人ができたんだ
お米を添えながらそんなことを考えて、少し笑いそうになってしまった
こんな報告、きっと面と向かってたら言えそうもなかったから
「......私は皆失ってしまって、一人になってしまった
弟を守れなかった私のせいで、こうなってしまったって分かってはいるけど
世界で一番不幸なのは私だ、なんて考えたこともあるよ
でも、世界は思っていたよりもずっと広くて、
私以上に苦しんで、過去に縛られている人達に出会った
その人達は自分だって苦しいくせに、誰かを思いやる気持ちを忘れないでいて
......その優しさに、私もたくさん救われた
馬鹿みたいに優しすぎるその人達は__________」
そこまで言ったものの、続きが出てこなくて空を仰いだ
雲一つない青い空と目が合う
_____私に居場所をくれた
そうだ
ここに来る前、彼らは私に`いってらっしゃい`って言ってくれたんだ
「だから、私は......ただいまって言わないと」
`また来るよ`の言葉を残して、高木さんのいる休憩所を目指す
してやられたものだ
いってらっしゃい、なんてあんな笑顔で言われたら
ただいまって言わないといけないじゃないか
本丸の我らが近侍の加州はそこまで考えていて、そう言ったに違いないのだ
......まあ、あの時振り返った私も私か
「......高木さん、本丸に帰る」
彼の前に立つと、`そうですか`とどこかに電話し始めた
あたかもそうなることが分かっていたかのように
「......はい、では。じゃあ、今から本丸に行きましょうかね」
「仕事が早いですね。でも、こんのすけを病院に忘れていったら駄目ですよ?」
墓地を抜け、病院を目指す山中に花を見つけた
それらは皆一様に太陽に向かって背を伸ばして、とても美しく輝く
その中を風がさあっと吹き抜けて、センニチコウの花が揺れた
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカネ(プロフ) - 三十九立ちの所で多分「お花」と書こうとしたと思うのですが、「お米」と書いております…!更新頑張って下さい、とても楽しく読んでいます…! (2018年9月8日 17時) (レス) id: e853e23932 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - 露草浅葱#絵描き同盟さん» お忙しい中ご返答ありがとうございます。そうですね、キャラヘイトとは異なる点が幾つかあると思います。それは私の非ですね、すみません。ですが、タグ削除等は行ってほしいとは思っています(タイトルの刀剣乱舞は消さなくても大丈夫です。) (2018年7月26日 13時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - こんばんは、突然すみません。この小説はブラック本丸を元にした作品だとお見受けしました。しかし、ブラック本丸というのはキャラヘイトと言う犯罪になりますので、刀剣乱舞原作に関わるタグをすべて削除するか、小説自体を削除してください。 (2018年7月25日 19時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 一気読みしました。主の正論は自分の事を棚にあげてると思いましたが前に進めている姿は良い。沖田組好きなので加州の話は読み応えあり、彼らが変に罵り合う事なくレア刀が出張る事もなく、刀剣が等しく出ていて大変楽しめた。応援してます。 (2018年7月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年6月30日 14時