【刀剣乱舞】これから、風が吹き始めそうなので 参

風が十六立ち ページ17

「よし、主入るよ？」







大広間の扉の前で加州が心配そうに、私を見る







こんなに彼らに気を使わせて



本当に私は主なんてなれっこないなぁ......








「うん、大丈夫だよ」







`じゃあお先に失礼するぜ`と二人共大広間に入っていった









この襖の向こうに刀剣男士がそろっていていて、そして私を待っている



きっと私は幻滅されるんだろうな






......もう、私の居場所なんてここにはないんだ









悲しいけど、仕方のないこと






私はそんな人間なのだから






自分勝手に本丸から逃げ出して、鶴丸や石切丸、皆に迷惑をかけた









よし、もう覚悟はできた



ちゃんと、私のことを話して、それでこの本丸から出ていこう









一息ついて、襖に手をかける







嫌われたと思うと、やっぱりなんか苦しいや









「遅くなってごめん


私、皆に謝らないといけないことが沢山......」






「審神者、とりあえずそこに座ってくれ」









目の合った三日月に促さられるまま、彼らと少し離れた遠い席に座る






この距離が、彼らとの間にできた心の距離だと思うとやっぱり苦しかった



皆の顔をうかがうのが怖くて、そのまま下をむく









手入れをして、彼らと談笑した時間の全てが無に帰ってしまった気がした







あの時、逃げずにちゃんと話していたら何か変わっていたのだろうか



しかし今となっては、それも後悔に変わりない









「まずは、石切丸と鶴丸を見つけてくれたことに感謝するぞ」




「はい」









形式的なそれに、自然と体がこわばった



彼らから、次に何を言われるのかと身構えた





離れていってしまったのは彼らでなく私の心なのかもしれない、なんてね









「......俺は、俺はあんたに怒ってるよ」









ぼそっと呟かれたそれを、私の耳が拾う



ぐっと唇をかんだ彼と視線が絡んだ








最初会った時より、しっかりとした目をしていた





それは刀としての彼であり、この本丸の初期刀としての彼だった









誰も一言も話さず、静かな時間が流れていく









「......主は、主は自分のことを何だと思ってんの？」









ようやく、口を開いた彼はただそう言った

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