風が二十吹きー過去ー ページ21
それからというもの
弟を守れなかったという、代わりに死ねなかった後悔を抱えて生きた
お墓参りであのおじさんに出くわすと、顔をしかめて私を見た
その度に、あの日に戻りたいと願った
今思えば、そのおじさんが政府で働いている_斉藤_だったのだ
・
そして、この本丸にやって来るちょっと前、
「じゃあ、ハワイ旅行に行ってくるから。お留守番よろしくね?」
「お土産を楽しみにしていてくれ」
両親を乗せた飛行機が事故をおこして__二人は帰らぬ人となった
どうして私ばかりと思ったが、そもそもは私が悪いのだ
弟を守れなかった付けが回ってきたのだから
弟を守れなかった私に、最後まで優しかった両親
神様なんてこの世にいないのだと思った
仮にいたとしても、どこかの物語のように`情け`を宣う神などいないのだ
本当にいるのなら、きっとこんなことは起こらなかった
弟の時みたいに、少人数で葬儀は行われた
「Aちゃんはこれらかどうするの?」
その時になって初めて、私が独りになってしまったことに気づいた
心許せる人はもうこの世にいない
私の家族は......もういない
心にぽっかり空いた穴を埋めるように、私はお経をひたすら唱えた
式が終わって、火葬場にわたした私達は向かった
霊柩車の後を追うようにして、バスが走り出す
車窓から見えた景色は皮肉にも美しかった
火葬には結構な時間がかかるらしく、時間潰しにその辺をぶらぶらする
遠目に見えた煙突から煙が立ち上っていく
......また、両親が遠くなってしまったのだと感じた
ブロロロ__どこかでエンジンの音が聞こえて、
「、、、大人しくしていろ、AA」
私は黒いベンツに攫われた
......そして、この本丸に連れてこられた
大嫌いな神様がそこには居て、だけど沢山の傷を抱えていた
私なんかよりずっと苦しい思いをしてきたその人たちを見て
大嫌いなはずなのに、不覚にも助けたいと思ってしまった
(それから今まで私なりに頑張ってきたつもりだけど、もう無理かな、なんてね)
(これでもうお終い)
(私はここを出で行くから)
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アカネ(プロフ) - 三十九立ちの所で多分「お花」と書こうとしたと思うのですが、「お米」と書いております…!更新頑張って下さい、とても楽しく読んでいます…! (2018年9月8日 17時) (レス) id: e853e23932 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - 露草浅葱#絵描き同盟さん» お忙しい中ご返答ありがとうございます。そうですね、キャラヘイトとは異なる点が幾つかあると思います。それは私の非ですね、すみません。ですが、タグ削除等は行ってほしいとは思っています(タイトルの刀剣乱舞は消さなくても大丈夫です。) (2018年7月26日 13時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
悠@ - こんばんは、突然すみません。この小説はブラック本丸を元にした作品だとお見受けしました。しかし、ブラック本丸というのはキャラヘイトと言う犯罪になりますので、刀剣乱舞原作に関わるタグをすべて削除するか、小説自体を削除してください。 (2018年7月25日 19時) (レス) id: c35ccfc481 (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 一気読みしました。主の正論は自分の事を棚にあげてると思いましたが前に進めている姿は良い。沖田組好きなので加州の話は読み応えあり、彼らが変に罵り合う事なくレア刀が出張る事もなく、刀剣が等しく出ていて大変楽しめた。応援してます。 (2018年7月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年6月30日 14時