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風が二十吹き ページ22

「......こんのすけ、どこ」







あれから、本丸中をウロウロしたものの奴の姿はなく


つい先ほど、お昼ご飯も済ませてしまった








結局は審神者部屋に戻ってきたものの......何をしようか






もう、こんのすけを探すのは諦めた


いつか顔を向こうから出してくれることを、信じることにしたから









「......っだ!!!大変だ!!!!!!」









ギシギシと縁側が鳴って、それが私に近づいてくる



大変慌てているようで、その声には息の切れる音も混じっていた








.........私に向けられた言葉なのだろうか







ただ事ではない気配に部屋を飛び出すと、和泉守と目が合った



どうやら、彼が叫んでいたらしい









「どうしたの?」



「山伏の旦那がっ!!!!......刀身が折れかかっているんだっ!!!!」






「はっ!?」




「取りあえずついてきてくれ!!!!」









促されるまま、彼の背を追いかける


状況整理の追い付かない私のためにか、案内しながらも教えてくれた








山伏という人が、あともう一歩で折れそうなこと


その刀派には和泉守のよき相棒もいること





だからこそ、どうしても助けたいということ









「ね、ちょっと聞いていい?どうしてその状態のまま放っておいたの?」



「俺も分かんねえんだ......少し急ぐぞ!!!!」







「は?!ちょっと、まっ」









私の声掛けも虚しく、彼は容赦なく加速していく









「遅れをとるなよ?」




「.........まだ根に持ってたの」









振り返った彼が、にやりと笑う







何か言い返してやろうか、とすら思った、が



山伏という人が大変そうなのに、そんな悠長なことは言ってられない









.........ということで




後で覚えとけよ、和泉守









「でも、ありがとな」









振り向かぬまま`助けに行ってくれて`と続けた









彼の髪がふわっと風に踊って、やけに時がゆっくりと流れていく




その一瞬が切り取られたみたいに、息を吸うのを忘れた








しかし、普段が普段なだけに、こういう不意打ちはどうかと思う









「いーえ」









.........やっぱり、`覚えとけよ、和泉守`は無しで






お礼に、弱い私もどうかと思うけどね

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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね!これからも頑張ってください!あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか?間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年5月22日 15時

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