風が十四吹き ページ15
演練から帰ってきて、燭台切達の美味しいお昼ご飯食べて
.......さぁ、お昼寝でもしようか
トントン
「ぬしさま.........」
どうやら、近侍の彼は私を寝かせておいてはくれないらしい
捨てられた猫みたいな、今にも消えてしまいそうな弱弱しい声で言われたら
部屋に入れてあげる、っていう選択肢しか私には与えられない
長くなりそうだし、お昼寝はお預けだろう
「入っておいで、小狐丸.........どうしたの、演練のこと?」
「はい。ぬしさまの刀剣である以上、ぬしさまに勝利を....と思っていたのですが」
申し訳なさそうに顔を出した彼は、俯いたまま
顕現されて間もない(前任が居なくなる数日前に顕現された)から、
練度は低くて当たり前だし、何よりも相手がとても強かったのだ
`仕方ない`の言葉で片づけられたら、どれ程いいだろうか
しかし、畜生彼はそんな言葉を求めてはいないのだろう
「っ!....負け、て、しまいました.........」
膝に乗せた拳に力が入り、彼の袴?にしわが寄った
表情はやっぱり影がかかっていて見えないが、ぼたぼたと雫が垂れてきた
____悔しい、その文字通りの顔をしているのだろう
でも、悔しいのなら
負けたことをどう受け止めて、次に繋げていくかですべてが変わる
感情は、時に原動力になる
.........まあ、私が言えたことではないけども
「負けたからどうしたというの、小狐丸
鍛錬して、いっぱい戦いの経験をして、次負けないように頑張ればいい
負けることは悪いことなんかじゃない。負けた後、次にどう繋げていくかが大切なの」
「ぬしさま...!!
小狐も努力すれば、次の戦いで勝てるでしょうか......?」
赤くなった鼻をすすりながら、顔をあげた小狐丸
その瞳が不安そうに揺れる
「大丈夫、小狐丸ならできるから」
人は確証のないまま、色んな事を語る
私にも`小狐丸が勝てる`という確証はない
だけど、私は身勝手にもそう言う
彼のあげた顔があまりにも頼もしくて
`小狐丸なら`と思ってしまった
......ごめんね
小狐丸は私を`大層な人間`と言ってくれたけど、やっぱりそんな事ないよ
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね!これからも頑張ってください!あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか?間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年5月22日 15時