風が一吹き ページ2
*
次の日
午前六時ぐらいに、目が覚めた
近侍である小狐丸が部屋に来る前に
脇差を携え、急いで外に出る
`ぬしさま、小狐もお供しますから`
そう言ってくれたことはとても嬉しいのだが、彼は昨日お風呂掃除をしてくれている
なのに、これ以上何を頼むことができようか
この本丸は随分と造りが複雑で、迷いそうになるものの
昨日の記憶を頼りになんとか歩いて行く
....道中、霊力を込めて本丸を浄化しながら
しばらく進むと、加州の部屋の前についた
やっぱり、気配はない
「加州、いる?今日も来たんだけど....」
「....また来たの?もういい加減にしてよね」
「でも、手入れを」
そういうと、僅かに戸が開いて
赤い目がぎろりと睨んだ
「要らないって言ったじゃん!
大体、人間は勝手に期待させて、勝手に裏切るんでしょ?!俺知ってるんだから!!」
「過去なら和泉守から聞いたよ」
そのとたん、静かになる加州
「このままでいいから聞いてよ」
「あんたなんかに、分かるわけっ!!」
かっとなったようで、襖から食いつくように彼は顔を出した
結構、至近距離にいた彼の白い肌には無数の傷があった
「あ。」
「昨日、加州はたしか
`俺みたいな刀なんて手入れする必要もないでしょ?`って言ったよね」
部屋の中に戻ろうとする彼の腕を掴み、引き付ける
私の手から逃れようと、加州が必死にもがく
___私だって、必死だよ
「俺みたいな?....笑わせないでよ!!!!
聞いたところによると、あんたは大和守に守られてるらしいじゃん!!!!!」
「っ?!」
声を張り上げた私にビビったのか、彼が固まる
けど、私は気づかぬふりして続ける
___大切なことを、彼に気づかせないといけないから
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月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね!これからも頑張ってください!あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか?間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年5月22日 15時