風が二十三吹き ページ25
彼らと別れ、記憶を頼りに大俱利伽羅の部屋を探す
.....たしか、ここだったはずだ
中から、楽しそうな談笑が聞こえてきた
トントン
「伽羅ちゃん、居る?」
「だから、伽羅ちゃ.....って、あんたか」
襖から、顔を出した伽羅ちゃんがめんどくさそうな顔をする
なんだ、私は厄介者か何かか?
「え?どうしたの、主」
「あ、燭台切.....実は、伽羅ちゃんの手入れをしてなかったな、と思って」
`そっか、ありがとう`と言って、顔をほころばせる燭台切
手入れを忘れていたはずなのに、なぜがお礼を言われる私
......どうしよう、罪悪感しかない
「まあ、とりあえず入ってよ。お茶でも飲んで、ゆっくりしていってね」
「ありがとう」
部屋に招いてもらって、燭台切がお茶の準備をしてくれているうちに
伽羅ちゃんの手入れを澄ませてしまう
「別に、手入れなんて......」
「ごめんね、伽羅ちゃん
あなたを部屋から出すことに必死で、手入れを忘れていて」
「だから、伽羅ちゃん言うな......あんた、わざと言ってるだろう」
心底嫌そうに、顔を歪める伽羅ちゃんを楽しんでいると
目の前に湯吞みが現れた
「さ、出来たよ。熱いから気を付けてね?」
「あ、ありがとう」
もう春だというのに、渡された湯吞みが温かく感じて
ほっ、と肩の力が抜けていくのを感じた
ここにきてから、いくらかは余計な力が入っていたようだ
久しぶりだな
こんなに一息つけれる時間は
「茶菓子のあるからね」
ずいっと差し出されたのはずんだ餅
「伽羅ちゃんが好きなんだ」
「余計なことは言うな、光忠」
と言いつつも、彼の手は既にずんだ餅に伸びていた
「......何時でもここに遊びにおいで。困ったときには、頼ってほしいな」
「たしか、前も言ってくれたよね。その言葉」
`ふふっ、そうかな?`と彼は笑う
私もずんだ餅に手を伸ばす......が、伽羅ちゃんと目が合った
視線で`ずんだ餅を取るな`と訴えかけられる
なんでだ、私も食べたい
でも、まぁこんな時間もたまにはいいかな、なんて
夕食までの数時間、彼らとのんびりたわいのない時間を過ごした
117人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね!これからも頑張ってください!あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか?間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年5月22日 15時