風が十八吹き ページ20
そんな時間もあっという間で、
気づけば伽羅ちゃんの部屋に辿り着いていた
「伽羅ちゃんのこと、よろしくね」
「分かってる。燭台切はちょっと外で待っててね」
半歩下がった彼を確認してから、襖をたたく
まもなくして`帰ってくれ`という低く唸る声が聞こえてきた
それを聞いてか燭台切が`伽羅ちゃん`と呟く
「......じゃあ邪魔するよ」
「人の話を聞け」
キッと私を睨みながら、彼は自身に手をかける
それにしても
彼といい、加州といい`帰ってくれ`と言った
何なのだ
この本丸では、来訪者を追い返すのが流行っているのだろうか
「はぁ、何しに来た」
`何を言っても無駄`と考えたようで、彼は自身から手を離した
「伽羅ちゃんの過去は聞いたよ」
「伽羅ちゃん言うな」
「前任に、性格のことで色々と言われたみたいだけど.....伽羅ちゃんは悪くない!!!!」
「だから、伽羅ちゃん言うな。話を聞け」
「性格がどうした！伽羅ちゃんを形作る大切な個性じゃないか!!」
「.........」
不意に彼は、襖を見やった
否、襖の向こうに居る燭台切を見ているように見える
「だが、俺はこうして引きこもってるのがお似合いだ
光忠達だって、俺を残して他所に移って、終いには燃えたじゃないか
.........馴れ合わない方が、ずっといい
その方が、別れるときにあんな苦しい思いをしなくて済むからな」
`分かったら、もう帰ってくれ`と襖に私を促す
その向こう側で大きな影が揺らいだ
それにしても
彼は対人関係のずっと向こうまで見ている
私は一度も考えたことがなかったけど、やっぱり別れは苦しい
私も何回か、そういう思いをしてきたから彼の気持ちは凄く分かる
「だけど、別れがなかったのなら、出会いもないよ？
前任とここの人達が別れなかったら、私はここにいなかったかもしれないし
.......確かに苦しい思いは、生きていれば付いて回るもの
けど、苦しい思いをした後にやって来るのは、必ず`幸せ`だと私は信じてるから」
彼が目を見開く
人生なんてそんなものだよ
ポジティブに考えないと、やっていけれないでしょ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜桜(プロフ) - 失礼致します、「風が二十九吹き」が非公開となっているようです。 (2018年6月30日 9時) (
レス) id: 02630f3ef1 (このIDを非表示/違反報告)
AKASAN(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます、頑張ってください！！ (2018年6月29日 13時) (レス) id: 1168bef346 (このIDを非表示/違反報告)
きの(プロフ) - 面白いですね！これからも頑張ってください！あと、方便ではなく、方言ではないでしょうか？間違っていたらすみません。 (2018年6月25日 0時) (レス) id: e253f59a3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：露草浅葱 | 作成日時：2018年5月22日 15時
