検索窓
今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:127,656 hit

風が三十六筋 ページ40

手入れを済ませて間もなく、くりくりした目の彼が





「ねぇ、俺大太刀だから、直すときに霊力いっぱいいったと思うんだけど....」







大丈夫?と眉尻を下げて尋ねてきた





あまり考えては来なかったけど、確かに私の霊力ってどうなってるんだろう





減る、とかそんな感覚分からない


でも‘質は上々、量も少なくはない`とこんのすけには評価された


`少なくは`ということはやっぱり尽きることもあるのだろうか








「こんのすけに、少なくはないって言われてるから....たぶん大丈夫」








ふと、眼鏡をかけた人と目が合った






「ん〜、とりあえず、自己紹介させてもらいますわ。自分は明石国行いいます

主はん、手入れしてくれておおきにな」






傍にいる二振りを愛おしそうに見ながら、小さく笑った__明石






「っあ、次は俺か!俺は愛染国俊!!三人共直してくれてありがとなっ主!!!」






へへっと絆創膏を付けた鼻をこする____愛染国俊






「え〜最後が俺なの?あ、俺は蛍丸。直してくれてありがとうね、主」






不服そうに明石を見上げる__蛍丸









「でも....なんで手入れされに来てくれたの?」





たしかに私は、大広間で`人間だからっていう理由だけで、殺される筋合いはない`とは言った





だけど、彼らが人間そのものを嫌ってしまうのも理解できる


それ程、傷つけられてきたのだ....人間に








「正直言って、自分らも人間にひどい目に遭わされてるから、憎いで?


だって、大切な人らも傷つけられたわけやし






けど、大広間であんさんがいったやろ?





それでなんや....我に返ったというか







自分らは長生きやから、いい人間にも悪い人間にも会ってきてること。







えらい大切なことやのに、周りが見えんくなっとったんやろな


付喪神がきいて呆れるわ....





自分らの生みの親やって、刀工(人間)やったのになあ」








自嘲気味に明石はそう言って笑った




彼等だって、好きで人間を嫌ってない



....やっぱり、人間はいつだって自分勝手だ









「それにしても、主さんの霊力あったかかったな!!!」



「たしかに〜」




「流石ぬしさまでしょう!!!私めもそう思っておりまする!!!」









なぜ、小狐丸がそんなに嬉しそうなのか

風が三十七筋→←風が三十五筋



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年2月19日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。