風が三十六筋 ページ40
手入れを済ませて間もなく、くりくりした目の彼が
「ねぇ、俺大太刀だから、直すときに霊力いっぱいいったと思うんだけど....」
大丈夫?と眉尻を下げて尋ねてきた
あまり考えては来なかったけど、確かに私の霊力ってどうなってるんだろう
減る、とかそんな感覚分からない
でも‘質は上々、量も少なくはない`とこんのすけには評価された
`少なくは`ということはやっぱり尽きることもあるのだろうか
「こんのすけに、少なくはないって言われてるから....たぶん大丈夫」
ふと、眼鏡をかけた人と目が合った
「ん〜、とりあえず、自己紹介させてもらいますわ。自分は明石国行いいます
主はん、手入れしてくれておおきにな」
傍にいる二振りを愛おしそうに見ながら、小さく笑った__明石
「っあ、次は俺か!俺は愛染国俊!!三人共直してくれてありがとなっ主!!!」
へへっと絆創膏を付けた鼻をこする____愛染国俊
「え〜最後が俺なの?あ、俺は蛍丸。直してくれてありがとうね、主」
不服そうに明石を見上げる__蛍丸
「でも....なんで手入れされに来てくれたの?」
たしかに私は、大広間で`人間だからっていう理由だけで、殺される筋合いはない`とは言った
だけど、彼らが人間そのものを嫌ってしまうのも理解できる
それ程、傷つけられてきたのだ....人間に
「正直言って、自分らも人間にひどい目に遭わされてるから、憎いで?
だって、大切な人らも傷つけられたわけやし
けど、大広間であんさんがいったやろ?
それでなんや....我に返ったというか
自分らは長生きやから、いい人間にも悪い人間にも会ってきてること。
えらい大切なことやのに、周りが見えんくなっとったんやろな
付喪神がきいて呆れるわ....
自分らの生みの親やって、
自嘲気味に明石はそう言って笑った
彼等だって、好きで人間を嫌ってない
....やっぱり、人間はいつだって自分勝手だ
「それにしても、主さんの霊力あったかかったな!!!」
「たしかに〜」
「流石ぬしさまでしょう!!!私めもそう思っておりまする!!!」
なぜ、小狐丸がそんなに嬉しそうなのか
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年2月19日 12時