風が十二筋 ページ13
「、、、ありがとう、か、、久しぶりだな、そんな言葉」
だけど、やっぱり人間には苦しい思いしかないらしく、怖いのか
私のすぐそばで彼は小刻みに震えていた
「、、、そんな思いしてまで、私に近づかなくていいよ」
そう言うと彼は何を思ったのか、ずいっとこちらに身を乗り出して
それから、にやっと笑った
「そーはいかねえ。ほら、審神者部屋に戻るぜ?、、、手当の時間だ」
「手当、て、、、?」
ポケットから怪しい薬を取り出し、彼は目の前でちらつかせて見せた
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「っつあっ!!いったい、痛いっ」
「すこーしの辛抱だぜ?、、、ってあんた、替えの服はあるのか?」
さっきのビンの正体は消毒液だったらしく、傷口がひりひりと痛んだ
流石に服を脱いでの治療はいたたまれないので、と
患部の服のところだけ破られたのだか
正直、服とか考えてなかった、、、と、こんのすけを見る
「ていうか、雲様!!ケガしてたことを忘れるとかどんだけですか!!!!
薬研藤四郎様がこうして介抱してくださっているからよいものの、、、ブツブツ」
が、私への説教が始まった
こんのすけって、こんなに面倒くさいんだ、、、とふと思ってしまう
「はは、あんた今、こんのすけ面倒くさいと思っただろ?顔に出てるぞ」
うそ、と思う間もなく
また、たらーりと私の背に消毒液がまたかかった
「った!痛い、痛い」
急に、ぴくっとこんのすけの耳が揺れた
何かの音をキャッチしたらしかった
「、、、んお?本丸に雲様の衣類当が届いたようですぞ!!
取りに行ってくる間、どうか薬研様よろしくお願いします。」
「おう、任せとけ」
こんのすけがいなくなったからか、
それとも私が人間だと再認識して、怖くなったからだろうか
彼は、一言も話さず黙々と作業をして
只々、私を治療し続けた
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作者名:露草浅葱 | 作成日時:2018年2月19日 12時