検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:75 hit

7話 ページ7

リビングに戻った私は、緊張で跳ね出した心臓を落ち着かせていた。

いきなり見慣れないものを見せつけられ、キモいくらい動揺してしまった。

し、仕方ないじゃん、異性の裸なんて、幼い時にお父さんと風呂に入った時以来、見てないんだし…

と、聞かれてもない言い訳を悶々と頭の中で言っていると、ふと、床に落ちた携帯に目が留まる。



…あ、そうだった。

家についたら、救急に電話しなきゃいけないんだった…

私は携帯を拾い上げ、ロック画面を開く。

電話のキーパッドを表示して、119と打ち込んだところで踏みとどまる。

…いや、待てよ、これって救急でいいのか?

ここは、虐待されていると読んで189で児童相談所に連絡の方がいいのかな…

でも、彼はすでに成人していそうな見た目だったし、体つきも…と考えたところで慌てて頭を振る。

それよりも、110で警察を呼んだ方が…



とごちゃごちゃ考えている間に、風呂場の方からカラリと扉が開いた。

ひたひたとフローリングを歩いてくる音がしてそちらの方に顔を向けると、ゴミ捨て場にいた時より遥かに綺麗になった彼が佇んでいた。

置いていった服にもきちんと着替えており、ほっと一息付いたが、長い髪からは今もポタポタと水が滴っていることに気がついた。



「か、髪!

まだ濡れてますって…」



私は持っていた携帯を置いて彼のもとに駆け寄った。
握っていたタオルを拝借し、髪を拭いてやろうとして…サッと避けられる。



「…ッ……お前、何を考えている?」



目にも止まらぬ速さで避けられた私は、タオルを両手に持ったまま、彼の顔を見上げた。その彼は、ありえないものを見る様な目でこちらを見下ろしている。



「えっ…か、髪を拭こうと……

ごめん、急に触られるの嫌だった?」



「…は…………嫌?

……嫌なのはお前の方じゃないのか?」



「…………はい?」



どういうことか分からず首を傾げる。

すると、目の前の男も鏡合わせの様に首を傾げた。



???



お互い分かっていないことがありすぎて、話が通じないのだろう。

私はしばらく思案した後、ひとまず彼が体を冷やさない様に首にタオルをかけてやる。



「………ひとまず、そこに座って。

ちょっと話しませんか?」

8話→←6話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:異世界 , オリジナル , ファンタジー   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:他人の空似 | 作成日時:2023年11月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。