検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:72 hit

3話 ページ3

「…………え…?」


あたりに静寂が訪れ…月明かりに照らされたその人の体をまじまじと見つめていた私は、思わず自分の口を手で覆った。

ただの布地を纏った様な簡素な服と、その上を靡く、腰くらいまで伸びたボサボサで艶のない黒髪。そこから覗くのは、痩せこけた頬と骨が浮き出るほど細い手足。
青白い肌には対照的な赤黒い打撲痕が、いたるところについており、目につくところだけでも数十ヶ所も見つかった。



ひどい…なに、これ…



この人がどこの誰なのかは知らないが、それはそれは酷い仕打ちを受けてきた人なのだと、馬鹿な私でもすぐに悟った。

誰かにやられたのだろうか、それとも、あの保健所に収容されていたわんちゃんのように、日常的に暴力を振るわれていたのだろうか…

今すぐにでも救急に連絡を入れたいが、先ほども言った通り、今は手元に通信手段がない。

かといって、このままこの人を置き去りにして帰ってしまうこともできなかった。



ひとまず私は道路脇に置いていたゴミ袋を所定の場所に置き、倒れたその人をおんぶして自宅に連れていくことにした。

運動音痴で非力な私だったが、驚くことに軽々と背負い込むことができてしまった。



…これ、生きている人間の重さじゃない。



それに気づいて、私は1人戦慄しながらも、足早に自宅に向かった。



得体の知れない人物。

超次元的な何かを目の当たりにし、尚且つ自分がそれに巻き込まれそうになったのに。

…理由は分からないが、助けてあげたいと、そう思ってしまったのだ。

4話→←2話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:異世界 , オリジナル , ファンタジー   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:他人の空似 | 作成日時:2023年11月17日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。