Chapter0 ページ1
──── 一般の家庭に生まれて、
術式が発動する、なんて。
苦労の塊なことこの上ない。
私もその類だ。
小さい頃から他人とは違う変なモノが視え、おかしい子だと認識されてきた。
そしてその変なモノが襲いかかってきて初めて"術式"と言うものが発動し、祓えたのだ。
誰にも理解されない孤独感。
特別な祓うチカラを持っていて、それがちょーっと嬉しくて自慢をしてみても、実証出来ないからと厨二病扱い。
人よりも多少異常な身体能力はあるが、それも全て"気持ち悪い"と遠ざけられる。
居場所なんてない。
何度そう思ったことか。
それでも捻くれずにここまで、
────呪術高等専門学校の入学までやってこれたのは、育ててくれた両親たちのおかげだ。
勿論、父も母もはじめは私が可笑しな子なのではないかとそう思っていたらしい。
周りの子から浮きやすく、私になにか問題があるのではないか、と。
しかし二人は私のことを信じてくれた。
ヒトよりも少し視力が良く、悪いものが視えてしまうだけだと言い、術式を発動しても「みんなの人助けになるね」と応援してくれた。
一緒に考えてくれて、支えてくれた。
だから私は今、スカウトをしてくれた学校に入学しているのだ。
「夏油ッ、テメーまた任務先で俺の獲物取りやがって!!」
「はぁ?取ったんじゃないよ、モタモタしてたキミが悪いんだろ」
そこで出会った同級生、というか問題児には頭を抱えたけれど、家入硝子という親友の女の子も出来た。
で、早二年生な訳だが────。
「……傑、大丈夫?最近、疲れてない?」
「あぁ、大丈夫だよ。悪いね、気にさせてしまって」
同級生が、少し疲れているように見えた。
「傑」
「ん?」
「─────おいで」
彼の力になりたくて、
気がついたら腕を広げていた。
当たり前だが、
彼は心底驚いていた。
どうしたらいいのか分からないと言うように顔をそらし、目を背けている。
────当然だ。
彼は男で、私は女。
プライドが彼にはあるのだろう。
だから、そっと腕を下げようとした。
なのに────────
「…ごめん」
「……え、?」
小さく謝って、彼は腕の中に入ってきた。
今度はこっちが驚いて固まった。
────抱きしめたら、
夏油傑が泣いて懐いて甘えてくれるようになった。
そんな、初日の出来事である。
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無胤(プロフ) - ツバメさん» 伏黒甚爾ことパパ黒との出会いは終えてなくてこれからです。夏油さま生存ifの予定ではなかったのですがご要望とあらばパパ黒と夏油さま生存ifにしてみます。 (2022年3月2日 20時) (レス) id: 0e0c1513ad (このIDを非表示/違反報告)
無胤(プロフ) - セツナさん» 夏油さまの甘えは最高に可愛いと思ってます。神作とは…光栄です。ありがとうございます。更新頑張ります (2022年3月2日 20時) (レス) id: 0e0c1513ad (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 傑の甘えには面白いと思いますけどこの感じだと伏黒甚爾との出会いは終わっちゃってます? 甚爾生存で傑も含めさしす組と他の人皆との絡み見て見たいです (2022年3月2日 19時) (レス) @page5 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
セツナ(プロフ) - 可愛いすぎません???神作すぎます!!最高ですッッ!!続き楽しみにしてます!! (2022年2月4日 3時) (レス) id: 2ea77c9340 (このIDを非表示/違反報告)
無胤(プロフ) - 甘木さん» 彼も立派な男子高生ですが、我慢しないで生きて欲しいですッッッ (2022年2月1日 19時) (レス) id: 0e0c1513ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無胤 | 作成日時:2022年1月30日 0時