【短編集】ピーチネクター (ページ9)

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小悪魔ページ9

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(苗字は中野固定です！)

「先週の小テスト返しまーす」

クラスから悲鳴が上がる。

お前らは安心しろ、お前らは合格だ。

お前らは、な。

「中野さん、今回も落ちたの？」

『えへへ』

「えへへじゃない、今回も補習ね」

今日の放課後、多目的室で。

そう伝えたら彼女は嬉しそうに微笑んだ。

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「中野さんなんで毎回落ちるの？」

『古典できないからですよ～！』

「 .....定期テストだと毎回1位なのに？」

そう、古典が苦手でできない子が落ちるのはわかる。

何故定期テストだと満点近い点数を叩き出す君が

簡単に作ってある小テストで落ちるのか。

「俺この間部活行けないんですけど」

古典の教員でありながら柔道部の顧問でもある。

剣道部の顧問の先生に任せるのは申し訳ないから

こういうのは出来ればやりたくないんだけど。

『もう、仕方ないですね』

『ホントのこと、教えますよ』

向き合っていた彼女は頬杖をつきながら

『先生と2人になりたいから落ちてるんです』

こんなことを言い出した。

古典の教員だし、人の気持ちを汲むのは得意なはずなのに。

生徒の心の動きなんて簡単に勘づけるのに。

この子だけは心の奥が見えない。

まるで心理戦でも挑まれてるみたいだ。

「面白いね、中野さん」

『 Aって呼んで下さいよ』

「 A、大人をからかうのは良くない」

『ッ本気なんですけど.... 』

ポッと赤らむ頬。

これ、ソッコーで勝てちゃったのでは。

「今度からは受かったら補習組むわ」

『えっ』

「落ちたらやってやーらね」

『え、それは嫌だ！！』

可愛いところあんじゃん、Aさん。

俺はそういう子好きだよ。