【短編集】ピーチネクター (ページ7)

今日:10 hit、昨日:3 hit、合計:22,032 hit

・ページ7

.
.

多分私が今飲んだのはジンジャーエールだ。

見た目が似ているからか誰にもバレてなさそうだけど、

棚澤くん私がお酒飲めないの知ってたのかな？

みんなの注目の的が真反対の席の子に移ったタイミングで

目の前の席の棚澤くんに聞いてみた。

『棚澤くん』

「ん？」

『これ、ジンジャーエール？』

「あー、バレたか」

やっぱりそうだっんだ。

ということは、もしかして...

『助けてくれたの？』

「だって、見るからに酒弱そうだったから笑」

『 ...ありがとう』

先程の発言は撤回します。

こんな人を好きになった自分、ナイス。

「お酒飲めないのに飲み会来たの？」

『あ、それは.... 』

棚澤くんがいたから。

「正直つまんないっしょ」

「俺ん家来る？汚いけど」

突然のお誘いに動揺を隠せない。

口に運びかけた唐揚げは箸から落ちたし、

きっと今とんでもない顔をしてる。

『な、棚澤くん酔ってるでしょ～？笑』

「俺ずっとそれしか飲んでないよ」

指の先にはさっき私が飲み干したグラス。

じゃあお酒飲んでないの？

「てか NOとは言わせないからね」

突然立ち上がった棚澤くんにぐっと手を引かれる。

『え、ちょっと！』

「体調悪いみたいだから送ってくるわ」

【あ、さっきのイッキ？？】

〈申し訳ないな... 〉

「ここに二人分の金置いとくから、じゃあ」

店を出た瞬間、私の腕を掴んでいた彼の左手は

私の右手と恋人繋ぎになった。